毎日がお葬式

双葉紫明

第1話

毎日がお葬式。

毎日死ぬのは自分。

なんだか知らないけど、いろんな自分がいて、産まれるのではなくいつの間にかいて、死んでいく。

昨日はスノーボードインストラクターとして調子に乗りかけてた自分が死んで、お葬式。

今日はなんとか自分ひとりで切り抜けようとしていた自分が死んで、お葬式。

明日はどんな自分が死ぬんだろう。

もういっぱい死んだぜ。

まだ足りないんか?

次は似非アマチュア小説家(かっこいい!)な自分が死ぬか?

死んでみなきゃ、わからないや。

お葬式には酒だよ。

毎日死ぬから疲れるし。

雪降ってるから、山にも行けないし。

深夜バイト明け、酒を呑む。

こないだまた肝臓痛くなったから、そろそろ焼酎お湯割りが良いんだろうけど、本数減らしてビールだ。

弦が2本しかないSG引っ張り出して、雪の中のfutaba rock festival2024を開催する。

the edgeだって弦2本あれば曲作れるって言ってたんだ。

やっぱりお葬式にはうただよ。

観客は石油ファンヒーター2台と石油ストーブ。

ストーブがすっ飛ぶ演奏みせてやるぜ!

誰も居ない。

本当は貰ったアコースティックをポロンポロン。

店でひとり、ピーズ鳴らしてコードをとる。

だけど、ロックで生きて行きたかった。

それを忘れない。

52歳の薄汚れたじじい。

まだ、やりたい。

時たまひとりカラオケでtheピーズばかり歌ってる。

エレカシの魂売る前のも少し歌う。

準備は万端。

けど、作曲はご無沙汰だ。

メロディー降ればスマホで録る。

便利になった。

けど、僕の悪夢に鳴る旋律は、あまりにも不快で却下。

この村を出る家族が居る。

お別れに、同級生だった娘ふたり、元妻が連れて来る。

元妻とヤレるだろうか?

まだ、やりたい。

人間のクズ。

theピーズに惜別のうたは少ない。

「電車でおでかけ」「サイナラ」くらいか。

「電車でおでかけ」大好きで、わりとうまく歌えるからお別れ会の時歌おうかな?

迷惑がられるし、元妻とヤレる確率が減るからやめとこう。


女のうんこについては割愛する。


まったく紐付かないけど、かわりにちんこについて。

僕はちんこ小さい。

ちんこデカいやつらには見下されている。

だけど、ちんこデカくてなんなんだ?

奥まで入れられないし、痛がられたりしないのか。

僕のはすっぽり入るんだ。

なんならタマキンまでどうぞ。

ね?

だけど、元妻がデカいちんこで僕とより気持ち良くなる。

そんな姿を想像しちゃうんだ。

だから、もう52歳だから遅いけど、ちんこデカくなりたい。

チクショー。

羨ましいぜ。

なんでちんこデカいんだよ。

「包茎はちんこの生育を阻むから剥きましょう」

ホットドッグプレスの情報に必死に剥いた小6の僕。

けれども、事実は小説より奇なり。

包茎のが、皮のぶんデカく見えるじゃねえか。

男性原理。

僕は女性にはきっとなれない。

女性を描くとき、汚れきった描きかたしか出来ない。

だけど心は乙女かもしれない。

恋愛脳。

単なる依存症。

一分一秒、なにしてる?

見れたら良い。

彼女が笑い、困り、眠る。

そんな病気が治したくて。

連絡を断つのだけれど。

無駄だった。

だって来るんだ。

店に予約入れたんだ。

会ってしまうんだ。

ああ、その前に死にたい。

だけど腹括れ。

ヤッて気が済むなら押し倒せ。

とにかく明日へ、進むんだ。

変な自分は殺しゃ良い。

それで毎日お葬式。

誰よりも焦ろうぜ。

心を青く、染めようぜ。

なくしたものを、愛でようぜ。

鳴り止まないレクイエム。

もしかしたら、もしかして。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

毎日がお葬式 双葉紫明 @futabasimei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画

同じコレクションの次の小説