アルケニー・プロファイル6【カクヨム版】

釣ール

手のりサイズ

 傾けられる為だけに産まれたなんてあまり言いたくないな。

 産まれたての本能で糸を使い、風に乗って空を飛んでいた時は思いもしなかったよ。


 あんなにどこへ住んで暮らそうかあまり覚えていないけれど頭の中に糸をどれだけ広げている自分が笑顔を浮かべていたかどうか考えているなんて。


 着いた先はイメージとは違う自然だった。

 固くて、冷たい、穴の空いた場所。

 そこには数多くの小さなムシが沢山いた。


 食えるから平気だと思っていたが実際は糸を出したい場所ではなかった。


 ガラスと鉄で出来た何かをかかげてきた人間達にさらわれて、てのひらに乗せられた後に何か液体えきたいを飲ませられた。


 見えていた世界の全てがゆれていき、八本の足が役に立たなくなった。


 ああ。

 天敵に遊ばれている。


 俺たちの生活に夢なんてなかったようだ。

 その後は覚悟を決めた。

 嘘だ。

 本当はふるえていた。


 その後のことはもう語れない。

 語りたくない。


 この後、俺は文字をならった。


 ここで糸に文字として書くことが出来る最後の抵抗ていこうだった。

 記録してやる!

 必ず!

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