エピローグ 0-5



 気がつけば、弔辞が終わっていた。

 ホワイトは、無意識に身体が動いていた。


「……アイリス」


 棺の前まで進む。周りがざわつくがホワイトには聞えない。彼には世界が自分と棺だけになっていた。

 棺はご丁寧に透明なので、花に囲まれて眠っているアイリスがよく見えた。


「……アイリス」


 アイリスって花の名前だな、なんて。どうでもいいことを彼は思い出した。

 アイリスの顔。

 死んでいるとは思えない。

 遺体が見つかって約半年。彼女の魔導力の残滓が切れるから今日葬儀が行われているだけだ。寝ているだけかもしれない。損傷も腐敗もない。ただ脈も呼吸もなくて脳死なだけだ。

 ……だから。ありえないと。

 彼は、ケースを開け飛ばしていた。


「——おい。いつまで寝てるんだ。いま何時だと思ってる」

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