53、エピローグ
「んじゃあ、リリィのファミリーチャンネル、はじめるぞ」
:待ってましたー!
:全裸待機でもはや服の着方を忘れました
:いやいや、いつから普通は服を着ていると錯覚していた?
:なん、だ、と……?
:相変わらずのキモキモリスナーで草ぁ!
相変わらずのコメント欄には金多も慣れて来た。ただし、中に他言語が含まれていることには頬が引き攣ってしまうのだが。そして魔王リリィを崇めるようなコメントには背筋が寒くなってしまうのだ。
「パパももう配信が板に付いてきたわね」
俺はお前が生まれる前から配信をしてるんだぞ。
とは事実ではあったが、リリィが生まれる前の配信はざこざこ配信者であったため、そのようなことは決して言えぬのだ。今は当時の数万倍と言える登録者数である。
「旦那様も成長されました」
と言う姫織には、この子ツッコみ待ちかな……、いや、本気で突っ込み待ちなのかも知れない、と思う金多である。
「ほらほら、さっさと進行しろよ、駄弁ってるんじゃなくってオレはさっさと先に行きたいぜ」
:ほほう、姉御はイきたいと
:春が来たからって姉御、そこまで爛れんでもw
:春が来て爛れる……アレルギーの一種かな?
「お前らは黙ってろ!」
フシャーッとばかりに声を上げる彼女にはコメント欄も大喜び。
成長しても金多たちはいつも通りであった。
今日もいつも通りにダンジョン配信だ。ただし他の配信者が潜れない、潜れても滅多に配信しない下層、そして深層の配信となっていた。
「憤怒」の魔王を斃し、その後の復興してゆく日本で、金多たちは率先してダンジョン配信を行い、皆の心を軽く、明るくするのに一躍をかっていた。探索者協会や政府としては、この隙につけいって来ようとする諸外国への牽制という意味もあったろうが。
そしてそうした政府の思惑もあって、金多たちは政府公認配信探索者となってもいた。……良いのか? 「色欲」の魔王が政府に公認されて。
そんな、いつも通りにワチャワチャとヤりながらの配信に、金多のチャンネルはますます登録者数を伸ばしてスゴいことになっていたのである。そして一大決心、今の自分がいるのはリリィの御陰として、チャンネル名をリリィのファミリーチャンネルと変えたのだ。
その際に感激して昂奮したリリィが大人の姿と成って――、
≪不適切な内容を検知しましたのでこのアカウントを一時的に停止します≫
垢BAN芸人としての面目躍如であった。
ちなみにそれはすぐさま解除されているし、危ないシーンになる前に『破廉恥は私がヤります!』という姫織の新デフォルメイラストになっていたのだが。すでにイラストはパーティメンバーそれぞれのものが用意されていたのである。パパのがあるのかは――各自のご想像に任せたい。
今の彼らは下層も、深層もサクサクと攻略出来ていた。そこから得られた資源が復興の助けになったことは間違いないのである。
「はいっ、じゃあパパのちょっと良いとこみてみたい♪」
「また良くないことを覚えやがって……」
金多は遠い目をするが、リリィに言われた通りに剣を構える。
その姿には、リリィだけではなく姫織も陽香も、そしてキモキモリスナーたちも目を奪われる。
なんだかんだと言って、リリィが来たところでそのテイマーが金多でなければこうはならなかったのだ。
「うぉおおおッ!」
金多は気勢を上げて深層のモンスターへと駆けてゆく。
彼女たちの配信活躍は、まだまだこれからも続いてゆくのである――。
Fin.
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
これにて完結となります!
お読みいただきありがとうございましたー!
フォロー、感想、レビュー、応援、本当にありがとうございました!
また別の作品もアップしてゆきますので、そちらでお逢いできれば幸いです。
ではでは、また~。
【秘宝】モンスターの卵を孵してバズろうとした結果、サキュバスが生まれて垢BANされる! ルピナス・ルーナーガイスト @lupinus_luna
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