エピローグ(高橋佐枝 side)
あれから一週間が過ぎた。今日も私は相澤絵里といつものようにお昼を食べていた。今では屋上で食べている。教室では見たくないものが目に入るからだ。結局、良和は私よりも松岡さんを選び、今頃は教室でイチャイチャしているのだろう。
「佐枝、ちょっと話があるんだけど」
絵里が珍しく改まって言った。
「何?」
「実はさ、彼氏できたんだ」
「うそ? 相手は誰?」
「男子バスケ部の磯野君」
「へぇ~」
磯野君は他のクラスだが女子に人気で私でも知っている。
「だからさ、その……お昼は……」
「ああ、いいよ。私は一人でも大丈夫だから」
「……ごめん。つらいときにそばに居てあげられなくて」
「つらいって何? 何もつらくないけど」
「佐枝、いい加減素直にならないと、また失敗するよ」
「……」
「あ、ごめん。そういうつもりじゃ」
私の目にはいつの間にか涙があふれていた。そうだ。私は素直にならなかったばっかりに大事な人を失ってしまった。とりかえしがつかないことをしてしまったのだ。後悔してももう遅い。
「うん、絵里の言うとおりだね。私、馬鹿だった」
「あんまり、自分を責めないでね」
「はぁ。しばらく一人で反省するから」
「わかった。じゃあ、私……」
「うん、行っておいで」
「ごめん!」
絵里は去って行った。私は一人、屋上に残された。これからは一人にも慣れないといけない。
そして、素直にならなきゃいけない。もう大事な人は失ってしまったけれど、きっとまた私にも大事な人が現れると信じて。
(完)
―――――――――――――
ありがとうございました。
予想以上にたくさんの方にお読みいただき、大変感謝しております。
本作と同じコレクション「フラれてから始まる物語」として新作ラブコメ「ギャルにフラれて陰キャになった俺の前に純真な天使が現れた」を公開開始しました。
告白失敗 - 告白する前に彼氏が居ると分かってしまった uruu @leapday
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