オンライン内見?
三国洋田
第1話 便利なサービス?
あっ、なんか急に引っ越しをしたくなってきたぞ。
よし、ネットで物件を探すか。
なんか良いのないかな?
おっ、ここ、良さそうだな。
むっ、ここも良いな。
こっちも良さそうだ。
よし、この三か所を内見してみようか。
いや、でも、三か所も回るの面倒だなぁ。
なんか良い方法ないかな?
ん?
オンライン内見?
なんだそれ?
このサイトには書いてないな。
検索して調べてみるか。
ああ、なるほど、ビデオ通話などのオンラインツールを使って、住宅の内部を見ることができるサービスなのか。
これならいちいち出掛けずに済むな。
便利だなぁ。
よし、これをやってみようか。
やり方は……
ホームページから申し込みをすれば良いだけなのか。
よし、完了と。
簡単で素晴らしいなぁ。
オンライン内見当日。
「ご利用ありがとうございます。それでは住宅のオンライン内見を始めます」
画面に映った不動産会社の職員が、そう言った。
「はい、お願いします」
「では、中に入りますね」
職員がドアを開け、中に入った。
画面に白い錠剤のようなものが映し出された。
「はい、こちらになります」
「えっ? あの、なんですか、それは?」
「見ての通りの内服薬ですね」
「内服薬? なんでそんなものを映すんですか?」
「住宅の内見だからですね」
「……どういうことですか?」
「『住宅の中にある内服薬の見学』略して『住宅の内見』ということですよ」
「はぁっ!? オンラインで住宅の内部を見学させてくれるサービスじゃないんですか!?」
「はい、違いますよ」
「ええっ!?」
「それでは終了しますね。ご利用ありがとうございました」
「えっ、ちょっと!?」
映像が消えた。
な、なんだそれは!?
そんなのなんの役にも立たないじゃないか!?
なんでそんなのあるんだよ!?
あっ、次が始まる時間だ!
準備しないと!
画面に不動産会社の職員が映し出された。
「それでは始めますね」
「はい、お願いします」
職員が住宅の中に入った。
画面に内臓の内部のようなものが映し出された。
「はい、こちらになります」
「なんですか、これは?」
「内視鏡で撮影した大腸の中の写真ですね」
「なんでそんなものを映すんですか!?」
「えっ? それはもちろん住宅の内見だからですよ」
「ええっ!? もしかして『内見』って『内視鏡の写真の見学』を省略した言葉だったりするんですか!?」
「はい、その通りですよ」
「えええええっ!?」
「それでは以上となります。ご利用ありがとうございました。失礼します」
映像が消えた。
なんだそのサービスは!?
役に立たなさすぎだろ!?
あれは誰の写真だったんだよ!?
あっ、最後のが始まる時間だ!
画面を切り替えると、不動産会社の職員が映し出された。
「ご利用ありがとうございます。それでは始めさせていただきます」
「はい、お願いします」
「それでは、中に入りますね」
画面に筋骨隆々、小麦色のテカった肌、黒のブーメランパンツ着用、スキンヘッドのお兄さんが映し出された。
「はい、こちらになります」
「えっ? なんなんですか、その方は?」
「住宅の内見ですね」
「意味が分かりませんよ!? どういうことなんですか!?」
「どうと言われましても、見ての通りですよ」
「見ても分かりませんよ!?」
「そうなんですか? 『住宅の中にいる内股の方見学』略して『住宅の内見』ということですよ」
「ええええええええええっ!?」
確かに、そのお兄さんは内股だな!?
「はい、では、以上になります。ご利用ありがとうございました」
画面が消えた。
な、なんじゃそりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?
そんなの映して、なんになるんだよ!?
なんでこんなサービスがあるんだ!?
訳が分からないぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!
めでたしめでたし?
おしまい。
オンライン内見? 三国洋田 @mikuni_youta
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