全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れと羊

空山羊

全てを破壊する者と全てを護る者

全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れを率いる俺は実は元人間だ。

前世では大切な人を護れずに死んだ。


『あの時俺にもっと力があったら!全てを破壊する力があったら!!』そう後悔を抱いて死んでいった俺は目が覚めるとバッファローになっていた。


俺の産まれた群れは比較的温厚な群れだった。


毎日、草をはみながら、「こんな毎日もいいのかもしれない」と思い始めていた矢先に、魔族がやってきて親や大人のバッファローを根こそぎ狩っていった。


「クフフフ!子のバッファローは狩るな!こいつらが育った頃に再度狩りにくるぞ!それにバッファローステーキが好物な魔王様もこれだけの量があれば喜ばれる!」

そう言って魔族は去っていった。


俺に残されたのは行き場を失った他の子バッファローと虚無感、そして前世の後悔からくる復讐心だった。


復讐の炎に燃えた俺は言った「お前ら大人たちの仇をとりたくねぇのか!ただ黙って大人になってあいつらに殺されて喰われるだけの命でいいのか!俺たちは誇り高きバッファローだ!仇討つぞ!!」


「「「「ヴォモォ~~!!!」」」


そうして一致団結した俺たちは『馬津覇狼バッファロー』を立ち上げた。

俺たちの合言葉は『狂乱破壊死狂騒曲きょうらんデストロイデスマーチ』全てを破壊しつくすまで止まるらない!!


それから、俺たちはこの言葉通り疾り続けた。。。


ヴォモォ~~!!!「ついに見えたぞ魔王城!!!お前らいくぞ~!!!」

「「「「「「「「「ヴォモォ~~!!!!!!!」」」」」」」」」


そんな時突然俺たちの前に1匹の羊が立ちはだかった!


ラメェ~~~~~!!!「待って!いっちゃダメ!」


ヴォモォ~~!!!「どけ!俺たちはあいつらに家族を殺されたんだ!それに俺はアイツを美牛みうを護れなかった!だから、魔族は滅ぼす!」


ベメェェ~~!!「えっ!あなた羊助ようすけなの!私よ美牛よ!!だったら尚更ダメよ行ってはいけない!」


ヴォモ!?「美牛!?なんで?お前も転生したのか?それでも俺はあいつらを滅ぼさなきゃいけない!!どいてくれ!!」


メメェェ!!「ダメよ羊助!あなた達が全てを破壊したら魔王城が崩れ麓にある街や動物たちの住処が壊れてしまう!あなた達はこれまでいくつもの魔王軍の拠点を破壊してきたみたいだけど、そこには人の住む街や動物たちの住処や生態系もあったの!それをあなた達はすべて壊している!あなた達のやっていることは魔王と変わらない!!」


ヴォヴォヴォ~!!「そ・そ・そんなことない!どけ!俺たちは行く!!」


メッメェ~!!「待ってぇ~!!」


「フハハハハハ我こそは魔王軍四天王が一人!ゴーリキュェ~~~~~~~~~~!!」

ヴォモォ~~!!!「うるさい!どけ雑魚!」


メッメメメ!「行ってしまった羊助!こうなってしまったら私は私のやることをやらなければ!皆行くわよ!!」


メェ~!!「はい!姐さん!護りましょう!!」

メェメェ!「そうねアタイたちはGuardian sheep!必ず護りきってみせる!!」


魔王城にて

「なんだこのバッファローの群れは!ここがどこだかわかっておるのか!余の前にひれ伏すがいい!『デスフレア!!』」


ヴォヴォヴォ~!「魔王!!お前たちたとえ俺が倒れようと仲間が燃やされようと魔王を滅ぼすまで止まるな!行くぞ~~~~!!!!!」


そうして死闘が始まった。


1匹また1匹とバッファローが倒れていく。

魔王の手勢も1匹また1匹と滅んでいく。


残ったのは俺と魔王のみ。


「ハァハァ!なんだこの威容までに強いバッファローは!キサマ世界の半分をくれてやるから我が軍門に下れ!!」


ヴォモォ~~!!!「クソくらえだ!お前は俺の家族を美牛を殺した!例え俺が灰になろうともお前だけは許さない!死ねぇ~~~~~~!!!『ファイナルアタック』!!!!!」


魔王は「受け止めてやる!」と言って両手を胸の前に構えバッファローの突進を止めた!そして、両手から滅びの炎を射出し手こずらせたバッファローを燃やし勝利した!!





かの様に思えたが、それは幻想であった。

バッファローは燃えながら朽ちながらもその勢いを止めずに魔王を貫いた!!


「グハッ!見事なりバッファロー!勇者でもなしえなかったことをたかがバッファロー如きにやられるとは・・・無念」


俺は貫き最期の言葉を発し滅ぶ魔王を横目に見ながら全てを完遂したことに涙したが、俺もどうやら終わりの様だ。


魔王の炎は俺が滅びるまで消えない。

そして俺のファイナルアタックは命を燃やしての突進なので、俺の命が朽ちるまで止まらない。


俺はそのまま魔王城を貫きそして最上階の魔王の間から地へ落ちていった。


崩れ落ちる魔王城の下には城下町や動物たちの住処である森などが見られた。


あぁ美牛が言っていたことはこういうことだったのか。。。

ごめん。美牛。美牛が護りたいって言っていたもの俺が壊しちゃうみたいだ。。。


メッメェ~!!「そんなことさせないわ!皆!羊毛盾全開よ!!」


俺が落ちていく時に美牛の声が聞こえた。


下を見ると無数の羊たちが自身の数十倍はあるであろう羊毛を大きく展開し防御フィールドを展開している。


落下してくる魔王城を羊毛で弾いたり優しく受け止めたりして被害を減らした。


城下町の人々や森に棲む動物たちは歓喜した。




この街には言い伝えがある。


かつて、この世界を闇で覆った悪の魔王を命の炎を燃やし打ち破ったバッファローと街や森その他生きとし生ける命を護った羊を。


その中のリーダーと思われるその2頭は空中で抱きしめあいながら燃えながら消えていった。


だが、燃え尽きる間際に永遠の愛を誓った言葉が聞こえたという。


「「ア・イ・シ・テ・ル」」


その言葉とともに2頭は空に舞い上がり星になった。


今も2頭は平和な世界を見下ろしながら夜空に輝いている。

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全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れと羊 空山羊 @zannyou

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