無気力魔王のグーダラ生活

@kusonemi_0120

第1話 チュートリアル

ーー魔王城 最深部ーー


「僕の名は剣士アルファ・ワン!人族を脅かす魔族の王よ!お前を倒して世界に光を与えてやる!」


勇者1名ご案内である。ならば魔王である俺はその勇者を倒さねばならない。なので俺は


「俺の名は魔王ネロ・モナーク。魔の王にして魔を統べるもの。貴様を下す最強の王である。死にたくないのなら今のうちに逃げることだな。」


完璧な言葉使い。しかし、アルファとやらの反応は思ったより薄い。それどころか


「貴様ッ!僕をバカにしているのか!寝ながら返事などッ!ふざけるな!」


怒られてしまった。寝ながらでも勝てるのだから寝てるのに。実際戦闘は面倒なのだ。魔法使うと疲れるし、攻撃は普通に痛いし…。いい事などひとつもないのに。


「ふっ、一時の感情に身を任せやがって…。笑わせる。貴様に情が沸いた。とっとと逃げるがよい。」


「誰が逃げるものか!来ないならこちらから行くぞ!」


もう逃げない。この男は逃げない。面倒だ。


「帰れよ」


「え?」


「いや…だから…帰れよ」


言ってしまった。もういい。


「えっ、てかむしろ帰ってくんない?俺眠たいんだよ」


「ぼ、僕を舐めているのか!」


「舐めてるとかじゃなくて、めんどくさいの!面倒だから帰ってくれって遠回しに言ったのになんで気づかないかなぁ」


とため息混じりで言ってしまった。


「僕はッ!貴様をたおす」


「あ、そういうのいいから。えっと何?君もしかして相手の気持ち考えれないタイプ?モテないよ?」


「き、貴様には関係ないだろう!それに彼女だっているし…」


「えー?ほんとに?でも融通の利かないとこ面倒って彼女に言われたことない?」


「確かに…言われたことはあるが」


「ほら!そこ蛙化だって!治しな本当に〜。」


「そうか…。いや、違うッ!仮にそうだとしても貴様を倒さない理由にはならない。行くぞ!」


向かってきた。説得出来ず。


「テレポート・無人島」


テレポート。転移呪文。呪文がかけられた対象を指定した場所に転移させるもの。


「なにいいいい!僕はどこに飛ぶぅー」


アルファはどこかの無人島へ飛んで行った。

魔法は常に、魔力や精度の高いものから優先されて使われるという法則がある。魔王にして魔力も腕っ節も優れた俺には都合のいい法則である。


「今日も寝ながら仕事終わったぜ!」


少しこの世界の説明と俺の自己紹介をしようと思う。


この世界には大きく分けて2つの人種がある。

1つは人族。これを読んでいる読者の皆様と変わりない、時にずる賢く時に真面目になる。それぞれの特徴をもつそれはそれは知的な生物だ。

人族にはまれにギフトを持って生まれる。

生まれつき魔力が高かったり、力が人より強かったり、体がアホみたいに硬かったりなどなど。生まれて初めての運試しってとこだ。


対して2つ目が魔族。人族より戦闘面で強く、魔力も高い。外見的特徴としては、人みたいな外見に角が生えた者や喋る動物など様々だ。人族と違いギフトは持って生まれることは今のところ無い。それ以外に人族との違いは特に無い。

強いて言えば、魔族は人族と違いそこらの洞穴を掘り進め魔力を流し込み居住スペースとする者や、城を建て豪勢に暮らすものも居る。


人族と魔族は基本的に仲が悪い。

理由は人族でのダンジョン攻略という名の強盗事件がきっかけである。

魔族の居住スペースを荒らしに来るのだ。


魔族は防犯として、その場にあるものに魔族特有の魔力を流し込み魔物という生物を造る。魔物はその居住者の強さに依存するため、強い魔族が造れば強い魔物が、弱い魔族が造れば弱い魔物が出来上がるのだが…。


その魔物で、家に侵入した人族が死んだらしい。これに怒った愚かな人族は魔族に殺されたと噂を流し、絶賛魔族は人族に嫌われているのだ。それだけでなく人族は、その怒りの矛先を魔族の王である魔王に全て向けたのである。


冗談じゃない。だが、俺が狙われるだけで他の魔族が無事ならそれはそれでいいかと思い今は魔王城でダラダラしつつ、勇者を名乗る切り裂き魔を待ち構えてるのだった。


「勇者なんて来なくていいのにな〜」


そんな一言が今日も魔王城に響き渡る。

楽をすることが何よりも好きな魔王による

ダラけきった緩いお話が今始まります。


「今回はこれで閉店ですよ〜皆さん。」

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