第28話 冷酷美少女の下着姿

 無事初デートを終え、俺たちは家に帰ってきた。


 下着を選ばれされそうになったり、結衣ちゃんと遭遇したりと色々なことがあったが七瀬とのデートはとても有意義な時間だった。


 この時間がずっとずっと続いていて欲しいと願ったのは初めてだ。

 

(ふっ、彼方に聞かれたららしくなさすぎて笑われるかもな。)


 俺は机の上に置いてある二つのマグカップを見つめる。


 今日のデートの記念にと七瀬がお揃いのを買おうと言って購入したものだ。


 早速これで飲んでみたいということで、帰ってきてから七瀬とティータイムを楽しんだ後彼女はお風呂に行き、現在俺はリビン

グで彼女が出てくるのを待っている。

 

「……」


 ふと風呂場の方から気配を感じ視線を向ける。


 すると何故か浴槽へと続く扉から半分顔を出した七瀬がこちらを見つめていた。その顔はお風呂上がりだからか少し朱色に染まっていた。


「何してるんだ?」


「その……」


 七瀬は言いづらそうにしながら何とか話してくれた。


「ちょっとあなたに見てほしかったんだけど……いざ見せるとなった時、少し恥ずかしくなって」


 ん? 恥ずかしい? 


 待て、一体俺に何を見せるつもりなんだ?


「……別に無理する必要はないだろう」


「でも……どうしても今日あなたに見て欲しくて」

 

 どうやら七瀬の意志はかなり強いようだ。


 俺は少し嫌な予感がするので見たくないところがあるのだが。


 少し悩んだ末、答えを決めたらしく、その視線には強い決意と勇気が宿っていた。


「い、今から見せるから……ちょっと後ろ向いてて」


「さっきも言ったように別にそんなに無理しなくてもいいからな」


「べ、別に無理してないから! 早く後ろ向いて!」


「……わかった」


 俺は指示された通り後ろを向いた。


 しかし一体七瀬は俺に何を見せるつもりなんだ? 


 何回か考えてみるもよくわからない。


 俺が考えていると浴室へと続くドアがゆっくりと開く音がした。

 そしてこちらへと向かう足音だけが静かな室内に響く。


 七瀬は俺の真後ろまでくると緊張しているのか、深く深呼吸を何回か繰り返し、心を整えている。


 本当に大丈夫か?


 何もそこまで無理はなくてもいいのにと思うがここまで来てしまった以上彼女の意志を尊重することにしよう。


「……もう準備はできたか?」


「ちょ、ちょっと待って! すー……はー……よし、いいわよ」


 俺もここまで七瀬が緊張していると振り向くのに勇気がいるが……ここはしっかりと七瀬に答えなきゃな。


「じゃあ、振り返るぞ」


「う、うん……どうぞ」


 七瀬の許可を得た俺は少し緊張しながらもゆっくりと振り返る。


「なっ……」


 俺は七瀬を見て一瞬にして冷静さを欠いた。


 だがこの状況で冷静さを保てるやつなど恐らく一人もいないだろう。


 何故なら今日ランジェリーショップで俺が彼女に告げた色の一つ。純白の下着だけを身にまとった彼女が立っていたのだから。

 

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