第24話 選んで?

 初めてのデートは思ったより遥かに順調に進んでいた。


 二人で食べ歩きをし、気になった店があれば入り、気に入ったものをお互いに見せ合うことで互いの好みの物を知ることができた。


 これがデートか……悪くないな。


 そう思っていた時、七瀬がある店を指さした。


「ねぇ、あそこの店入ってもいい?


 その店は女性の下着を扱う店お金持ち向けの高級店———


 つまりランジェリーショップだ。

 

「……俺は外で待っているぞ」


 流石にランジェリーショップに入るのは少々というか大分恥ずかしい。


 逃げるようにベンチに向かおうとしたとこで腕をガッチリと掴まれた。


 だよなぁ……絶対こうなるよなぁ……。


 力の強さから絶対に逃さないという強い意志を感じる。


「何言ってるの? あなたも一緒に入るわよ。」


「いや、男が入っていい場所なのか?」


「あなた一人ならまだしも、私の付き合いなら何も言われないわ。さ、行きましょ」


「いやだ」


「抵抗しないの」


 抵抗虚しく半ば強引に七瀬に連れられ、店内に入る。


 店内はまるで別次元のような空間だった。


 大理石の床に豪華なシャンデリアと豪華な内装にどこをみても女性用の下着。男にとってはなんだか来てはいけない領域に足を踏み込んでしまったようで実に居心地が悪い。


 頼むから……早く終わってくれ……!


「どれも可愛いわね。ねぇ、あなたはどれがいいと思う?」


 七瀬は早速何着かを手に取って俺に見せる。正直女性の下着は全然わからないので実に答えづらい。


「……どっちも似合うんじゃないか?」


 俺の適当な返事に七瀬は頬を膨らませ、むぅと不満そうに俺を睨む。

 

「もう、真面目に選んで」


「すまんな、女性の下着なんて見たことないからわからないんだよ」


「それもそうね……ほらこれでわかりやすいでしょ?」


 七瀬は手に取った白の下着を体の前に当てた。


 瞬間脳内に純白の白の下着を纏った七瀬が思い浮び俺はすぐに口内を噛み、現実に引き戻す。

 

 強く噛みすぎた……


「どうしたの? いきなり難しそうな顔してそんなに私の下着で悩んでくれてるの?」


「あ、ああ……」


 本当は少し強く噛みすぎて後悔しているだけだが。


「ふふっ、嬉しいわ。じゃああなたが私の下着を一着選んでくれる?」


「何故そうなる……」


 俺は深くため息をついた。



 



 




 

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