第23話 冷酷美少女とデート

 週末、デートの約束の日。


 俺は部屋の外で七瀬が来るのを待っていた。


「お待たせ」


 しばらくすると扉が開き、私服に身を包んだ七瀬が現れた。

 上は白いブラウスに下はフレアスカートと彼女の見た目にぴったりの清楚な服だ。


「もしかして見惚れちゃった?」

 

 七瀬が嬉しそうに聞いてきた、


 七瀬の私服を見るのは初めてだが正直ここまで破壊力があるものだとは思わなかった。

 

「正直に言うと見惚れた、すごく似合ってる。」


「ふふ、ありがと。あなたもかっこいいわよ。」


 今日は初めての女子とのデートということもあっていつも一人で出かける時とは違い、髪をきちんとワックスでセットし、私服も少し高級なものを着ている。


 これで七瀬と並んで歩いても浮くことはないだろう。


「私、本当に今日という日をすごく楽しみにしてたの。」


 よく知ってる。


 だって昨日は楽しみすぎて寝られらないと眠くなるまで話相手に付き合ったからな。

 まぁ、俺も少し楽しみで眠くなかったからちょうどよかったが。


 今日という日のためにデートプランを懸命になって考えた。前のよう失態で七瀬をもう二度と不安にはさせない。

  

 俺は七瀬にそっと手を差し出した。


「俺もすごく楽しみだった。エスコートは任せてくれ」


「よろしくね、紳士様。」


 七瀬は嬉しそうに微笑み俺の手を取った。



 ◇



 俺達はデートスポットとして有名な街へ向かった。


 ここには食べ歩きから、食事、日用品、服、装飾品など様々なサービスや店が充実している。


(やっぱり視線感じるなぁ……)


 予想通り通りかかる人々がこちらを見つめる。やはり七瀬の容姿は世間から見ても相当綺麗なようだ。


 だが意外にも俺達を見つめる人々の中にカップルや、若い女の子もこちらを見つめていた。


 まさか七瀬の美貌は女子や、彼女がいる男性にも通用するとはな……


 俺が心の中で七瀬の凄さに感心していると周りの視線に気づいた七瀬が少しムっとした表情になり周囲に見せつけるように俺の腕に抱きついてきた。


 七瀬からはふわりといい匂いがする。


「いきなりどうしたんだ?」


「別に、なんでもないわ」


 少しそっけなく答える七瀬。


 何か気に触ることでもしたか?


 こういう時は機嫌直しをしなければ


 あたりを見渡すと近くに有名なジェラート専門店を見つけた。


「なぁ、七瀬あそこのジェラート食べないか?」


「食べたい!」


 彼女は目をキラキラとさせて答えた。


 どうやら七瀬は甘いものが好きらしい。


「わかった、買おう。」


 店に行き二人で味を選んだ。


 七瀬はすごく悩んでいたが最終的にいちご味にしていた。


「おいしいか?」


「すごく美味しいわ!」


 七瀬ジェラート幸せそうに食べていた。どうやら機嫌は治ったらしい。


「そりゃよかった」


 俺もスプーンで掬い一口食べる。


 流石はジェラート専門店。味のクオリティが高く、すごく美味しい。


「ねぇ、あなたのも少し食べてみてもいい?」


「ああ、もちろんいいぞ。」


「じゃああなたが食べさせて?」


 ん? 今なんて———


 そう言おうと思った時にはすでに七瀬は目を瞑り、口を開け待機していた。


「……仕方ないな、じゃあ食べさせるぞ」


 ジェラートを掬い七瀬の口へと慎重に近づけ、口へと運んだ。


「……どうだ?」


「……美味しいわ」


「……そうか」


 何故か少し恥ずかしそうな七瀬は次に自分のジェラートをスプーンで掬うと俺へと向けた。


「あなたも食べて」


「いや、俺は大丈———」


「……」


「頂きます」


 俺は無言の圧に屈し口を開けた。


「あ〜ん♪」


「あ、あーん?」


 あーんという声と共に俺の口にスプーンが入れ込まれた。


 苺の甘味と酸味がちょうどよく、とても美味しいが状況が状況なので味を楽しむ余裕がない。


「どう? おいしい?」


「ああ……すごく美味しいよ」


 もうあまり覚えていないが。


「そう、それはよかったわ。次、あそこのクレープ食べましょ」


「結構食べれるんだな」


「女の子は甘いものはいっぱい食べられるの。文句ある?」


「ありません」


「じゃ行きましょ」


 そう言って七瀬は歩き始めた。


 前より自分の意見を言うようになったな。


 俺は彼女の変化に喜びを感じながら彼女の後を追った。





  【あとがき】


最後までお読みいただきありがとうございます!


面白いと思ったら、下からできる作品の☆評価、感想をいただけるととても励みになりますのでよろしくお願いします!

 




 









 

 


 


 

 


 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る