第21話 冷酷美少女と食事

 20分後、食卓に料理が並んだ。


 今日は生姜焼き、豆腐とわかめの味噌汁、卵焼き、といったメニューで生姜焼きに関しては我ながら良い出来だと思う。


 味噌汁と卵焼きはさすが七瀬が作っただけはあってかなり良い匂いがする。


「良い感じにできたわね」


「ああ、かなり上出来だ。七瀬に手伝ってもらったおかげだよ」


「ふふっ、ありがと。さ、食べましょ」

 

「ん、そうしよう」


 二人揃って席につく。


 そして同時に手を合わせる。


「「いただきます」」


 味噌汁のお椀を手に取り、一口飲む。


 カツオの風味と味噌の旨みが口に広がる。


 ……うまい。


 こんなにも上手く出汁が取れるとはな。


 前も思ったががやはり七瀬は俺より料理がかなり上手い。本当に俺なんかと比べると失礼なほどに。


 卵焼きは卵本来の味を残しつつもしっかりと醤油の風味がふわりと広がり、絶品だった。


 俺は七瀬の料理を一通り食べた所で少し不安になり、ふと彼女の方を見る。


 だが俺の不安とは裏腹に彼女は俺の作った生姜焼きをとても美味しそうに食べてくれていた。


「おいしい! これすごく美味しいわ!」


「それはよかった……七瀬が作ってくれた卵焼きと味噌汁も美味しい」


「私の味好き?」


「……ああ、好きだ。……もう七瀬以外の手料理じゃ満足出来そうにない。」 


 俺は少し照れつつ言った。


 こういうことを言うのは性に合っていないのは分かっている。

 だがそれでも実際思ったことは言っておきたかった。


 すると七瀬は頬を赤く染め、髪の毛先をくるくると巻いていた。


「あ、ありがと……まさかそんなに気に入ってもらえてるなんて思ってなかったわ 」


 もしかして照れているのだろうか? 


 彼女も時々可愛らしい一面を見せてくれるな。


「褒められ慣れていないのか?」


「家では出来て当たり前って感じだったから」


「そうか、俺と同じだな。俺も一人で生きていけるように育てられた。料理を誰かとするなんて初めての体験だった」


「私は今日あなたと一緒に料理が出来て楽しかったわ。あなたもなかなか楽しかったでしょ?」


 そういって優しく微笑みかける。


 確かに七瀬と料理を作っている時は一人で作っている時よりも遥かに楽しかった。


「そうだな、楽しかったよ。それに七瀬とご飯を食べるといつもの何倍も美味しく感じる」


「そ、そう……私も……あなたと一緒に食べるとなんだか心が満たされるの。」


「ふっ、同じだな」


「ふふっ、同じね」


 二人で見つめ合って笑った

 



  【あとがき】


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