第13話 冷酷美少女は側にいたい
夕食後、シャワーから俺が上がると七瀬がソファに座ってコーヒーを飲んでいた。
……やっぱり似合ってるな
優雅にコーヒーを飲む七瀬はやはり半端なく絵になっている。これをコーヒーショップの広告に使ったら間違いなく売り上げが爆上がりしそうだ。
風呂から出た俺に気づいたのか七瀬がこちらに振り向き微笑みを浮かべた。
「あら、出たのね」
「ああ、七瀬はティータイムか?」
「店長にもらった豆を入れてみたの。あなたも飲む?」
「飲みたい」
「ふふ、絶対そう言うだろうと思ったわ。今準備するわね」
彼女は俺のコーヒーを準備するためにキッチンへと向かっていった。
俺は彼女が先程座っていた場所の隣に腰をおろし、一息つく。
にしても七瀬、気が利いて優しいな。俺の為にわざわざコーヒーを淹れてくれるなんて。
自分のことだけではなく相手のことも常に考えている。それは普通に出来ることではない。
もしかして七瀬ってかなりいいお嫁さんになるんじゃないか?
気遣いもできて、料理もうまくて、勉強もできる、おまけに黒髪清楚の超絶美少女。そんな彼女と本当に俺なんかが婚約してもいいのだろうか?
……もっと俺も気が使えるような男にならないとな。
そんなことを考えていると俺の目の前にコーヒーが入ったマグカップが置かれた。
「はい、出来たわよ」
「ありがとう」
マグカップを手に取り、一口飲む。コーヒーの酸味と苦味が丁度よく美味しい。
豆も勿論良いんだろうがやっぱり七瀬の技術がいいんだろうな。
コーヒーは同じ豆でも入れる人によって味が違う。俺が淹れてもこうはいかないだろう。
「何考えてたの? 難しい顔してたけど」
「……いや、なんでもない」
流石にこのことを七瀬に言うのは少し恥ずかしかった。
そんな俺の様子を見た七瀬は俺の手を優しく握った。白く細い彼女の手は温かく、触れているだけでとても心が和らいだ。
「何か不安なことや、困ったことがあったら私に言って。私達婚約者でしょ?」
「……そうだったな。その時は頼らせてもらおう。」
「ええ、そうして。」
彼女は嬉しそうに笑うと俺の肩に頭を乗せてきた。
ふわっと彼女から自分とシャンプーのいい匂いがしてなんだか変な気分になりそうだ。
「いきなりなんだ?」
「テニスの時に言ったじゃない、家に帰ったらくっついてもいいって」
そういえばそんなこと言ったな。
だがこんなにも距離を積めてくるとは思わなかった。
「ああ、確かに言った、約束だからないいぞ」
「可愛いあなたの妻が甘えてるのよ? まだ何かしてあげることがあるんじゃない?」
「まだ妻じゃない———ってもうツッコむのはやめよう。それでこれ以上何をすればいいんだ?」
「そうね……頭を撫でながら褒めて」
「そんなことでいいならわかった。」
出来るだけ優しく彼女の髪に触れ、撫でる。すると気持ちよさそうに表情を緩めた。
こうしてみるとなんか猫みたいだな。
「今日はよく頑張ったな、偉いぞ」
「ふふ、あなたがまさかそんなことを言うなんてね」
「……もういいか?」
「今日はしばらくこうしていたいの……駄目?」
……その上目遣いは反則だ。
「寝るまでだぞ」
「ありがとう、優しい旦那様。」
「……それが務めだからな。」
その後しばらく俺は彼女の頭を撫で続けた。
【あとがき】
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