第8話 冷酷美少女と同棲
「……本当に来たのか」
翌日、俺はマンションに来た七瀬を見てため息を着いた。
「あら、これから妻になる人にその態度はひどいわね」
「まだ婚約の段階だ、妻ではない、あと俺も君の旦那でもない。」
「ふふ、今はそれでもいいわ。」
やれやれ、この女は本当に何を考えているのかわからない。
これからの同棲生活が不安だ。
七瀬を家の中に入れると彼女は俺の部屋を興味深そうに観察していて俺としては落ち着かないことこの上ない。
「結構広いのね、流石一条家の次期当主の家ね」
「次期当主の家が普通のマンションでは格好がつかんからな。」
俺はいずれ一条家当主の座を必ず引き継ぐ。そのためにもこういうところで財力を見せつけることは大切なのだ。
まぁ広すぎて住みづらいから俺的にはもう少し狭くてもいいんだがな。
「それより私の荷物届いてる?」
「ああ、昨日届いた。今は君の部屋に置いてある。」
俺の家が無駄に広かったおかげで七瀬の部屋も用意できた。流石に同棲するといっても自分だけのプライベート空間がないというのはよくないだろう。
すると七瀬は少し驚いたような表情を浮かべていた。
「運んでおいてくれたのねありがと」
「これくらいはな」
「あなたのそういう優しい所好きよ」
「……そうか」
こいつ昨日言ってた好きにさせてみせるを早速実践しているな……
七瀬のような普段はクールな超絶美人に不意打ちで好きと言われたらふつうは心がうごいてしまうだろう。
「それより部屋に案内しよう」
「ええ、お願い」
七瀬の部屋は俺の部屋とは少し離れた場所にしておいた。その方が彼女も落ち着いて過ごせるはずだ。
あと絶対に間違いが起こらないようにするためでもある。
「どうだ? 気に入ったか?」
「うん、すごくいい感じ。このベットも高そうね」
「まぁ、安くはないがお前は気にしなくていい。」
彼女が今腰掛けているベットは金持ち向けの家具屋に特注で作ってもらった代物だ。当然値段も高い。
これ自体は父さんが買っていたから詳しい値段は知らないが間違いなく高級品だ。
あの人やけにベットにこだわってたけど一体何をさせるつもりだったのやら。
「本当に良い寝心地よ……貴方も寝てみる?」
「……遠慮しておく」
「そう言わずに、今夜二人で寝るかもしれないんだから。ね、旦那様」
こいつまた……俺が反撃しないのをいいことにめちゃくちゃ挑発してくるな。
今までは反撃するのは大人気ないと思っていたが少し理解させてやるとしよう。
「旦那様? きゃっ!」
俺は挑発的な笑みを浮かべた七瀬をベットに押し倒した。
先程までは余裕そうだった表情が一気に緊張へと変わっていく。
『そんなに挑発してたら襲われても文句は言えないぞ』
彼女の耳元で優しく囁くと顔が一気に真っ赤になった。
まさかこんな可愛い反応を観れるとはな……まぁ今日はこれくらいで勘弁してやろう。
そう思い引こうとした時袖をギュッと掴まれた。
「私は……今からでも……大丈夫、だけど……」
彼女は顔を真っ赤にし照れながらそういった。
彼女の美しい碧眼が甘くとろけるようにだらしない目になっていてなんだかんだとてもエロい。
これは……まずいな……
これ以上ここにいると自分を制御できる気がしなかったので俺は素早くベットから起き上がった。
「すまん、冗談がすぎたな。あとはゆっくりしてくれ」
俺は彼女にそう言って足早に扉へと向かった。
離れる時彼女が不服そうに頬を膨らませていたが俺は一刻も早くこの部屋から出たかたった。
そして俺が部屋を出る際彼女が小さな声で呟いた。
『……へたれな旦那様』
……悪かったな、ヘタレで
俺は逃げるように七瀬の部屋を後にした。
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