第7話 冷酷美少女と婚約
「……」
俺は目の前の七瀬が笑みを浮かべているのを見てやられたと思った。
まさか七瀬が婚約者だったとは……あの時わざと黙ってやがったな。
色々と突っ込みたいことが山ほどあったがこの場は両家の威厳に関わるので俺も彼女と同じように軽く頭を下げ自己紹介をする。
「初めまして、一条家長男、一条湊です。」
「こんなかっこよくて頼もしい人が婚約者なんて私は幸せです」
「俺も君のような黒髪清楚の美しい女性が婚約者で嬉しいよ」
俺が彼女のことを褒めると、嬉しそうな笑みを浮かべながら綺麗な黒髪の毛先をくるくると巻いていた。
『この髪が好きなんだ〜』
そんな彼女の心の声が聞こえたきがした。
「二人とも早速仲良くなれたみたいで私は嬉しいよ」
「湊君に気に入ってもらえて良かったよ」
「はい、彼女とこれから一緒に人生を歩んでいくのが楽しみです」
俺は心にも思っていないことを笑顔で言った。
それからしばらく婚約の条件などを話して1時間ほどたちようやく初顔合わせは終わった。
「じゃあ私達は少し席を外すよ。その間二人だけで仲を深めてくれ」
「はい、わかりました」
「ではごゆっくり。」
そう言って父さん達は部屋を出て行き、俺と七瀬が取り残された。
「……さて、何故こうなったんだ?」
「私もわかりません、旦那様。」
「随分とノリノリだな! というか俺が婚約者になるって知ってて黙ってただろ」
「ふふ、なんのことかわからないわね」
この顔は絶対わかってたやつだ。なんならこの婚約すら彼女が父親に言って始まったものかもしれない。
まぁ父さんもあんだけ乗り気になっちゃってたし婚約解消はもう無理そうだ。そんなことをすれば一条家と七瀬家、両家の面子を潰すことになってしまう。
そのためこの時点で七瀬と結婚することがほぼ確定したようなものだ。
「……前に言っていたが七瀬は本当に俺が好きなのか?」
「ええ、その気持ちは今も変わらない。」
「……そうか。たが、前にも言ったと思うが俺は七瀬のことは嫌いではないが好きでもない。そこはわかってくれるか?」
これは確認しておかねば後々かなり面倒なことになる。俺は婚約した以上婚約者とはできるだけ仲良くしたいのだ。
「大丈夫、絶対好きにさせてみせるから」
「……そうなる姿が想像できないが頑張ってくれ」
俺は未だこの人生に置いて人を本気で好きになったことがない。今まで何度も告白はされてきたがそれも全て断ってきたため恋愛経験も皆無だ。
そんな俺が七瀬と婚約者としての関係を維持できるか、俺はそれだけが不安だった。
「きっと好きになるから大丈夫よ、これからはずっと一緒にいるんだから。」
「ん? ずっと一緒にとはどういうことだ?」
「聞いてないの? あなたのお父様が明日からあなたの家に同棲してくれないかって私言われたんだけど」
「……」
あの親父……余計なことをしてくれたな
「聞いてない」
「でももう荷物送っちゃったから今日中に届くと思うわよ」
「……」
何故か今日はよく逃げ道を断たれるな。彼女が逃げ道を片っ端からつぶしめいるのか?
「明日からの同棲が楽しみね、旦那様。」
「その呼び方だけはやめろ」
こうして、七瀬玲との婚約と同棲が決まった。
【あとがき】
最後までお読みいただきありがとうございます!
告知していた通り、今回から主人公の名前が
名前と苗字が変わっても主人公の性格や考え、物語は変わりませんのでこれからもどうかよろしくお願いします。
面白いと思ったら、下からできる作品の☆評価、感想をいただけるととても励みになりますのでよろしくお願いします!
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