今度こそ、国鉄色で山陰へ!

第5話 やっぱり、もう一度!

 さしあたり1往復してみて、この路線の感覚はかなりつかみなおせました。それに加え、やくも号の行程についてもおおむね感覚がつかめました。なんせ、伯備線を全線乗車して山陰まで行ったのは、前回に至るまで十数年のブランクがあったわけですから、無理もないです。

 しかし、1度だけで作品をまとめる自信がないというか、どうせなら玉造温泉の温泉街で宿泊を入れた方がよさそうな、そんな気もしてきました。


 そこで、やっぱり、もう一度!


ということになりまして、予定を組みました。

 山陰地方はテレビ局が少なく、私が毎週日曜朝に観ているプリキュアの放映がないときております。よって、土曜日からの移動はNGということに。加えて、温泉街などは特に土曜日の宿泊料は高く設定されますので、そんなことも考えて、一番安くなるのはと言えば日曜日、ということに。それなら何とか予定が組めます。

 プリキュアが終ってからの移動は、何の問題もありませんからね。


 その点を考慮して、ついに、もう一度玉造温泉まで行くことに。今度は、宿泊を伴わせることとなります。

 行くならもう、行きが国鉄色でなくては。

 そう思ってあらかじめ調査していた事実を確認すると、岡山11時5分発のやくも9号が国鉄色で運転されることになっているではありませんか。

 行きはもう、これ一択。

 帰りはどうするか。

 翌日の国鉄色はちょっと朝が早いので、今一つ。では、午後の国鉄色まで待つことにすると前回と同じ列車ということになるが、それではやっぱり遅すぎる。

 結局、そこは11時前か12時前に玉造温泉を出て岡山に戻れるようにすればいいや、ってことになりました。要するに、もうそこは流れに任せて、ということ。

 ただ、11時前の列車は2000年頃の塗装の「緑やくも」。

 これを乗らない手もないなと、そんなことを思ってはおりました。

 まあ、駄目でも赤の「ゆったりやくも」があるわいな。


 そして、決行日は2月18日の日曜日に決定。今度は、数日前に岡山駅に用事があったときに予め切符を揃えておきました。乗車券と自由席特急券、併せて1万円少々。しかし、やくも号の自由席車に乗れるのは今回が最後だろうな。

 なんせこの3月の改正からは全車指定席になるからね。


 かつて「エル特急」と言われていた頃は、自由席もあって気軽に乗れる特急列車というコンセプトもあったわけで、やくも号は昔から自由席があったのね。

 だけど、今時の情勢の変化もあって、自由席は縮小傾向に。どうしても短距離区間の利用者が多く自由席が必要な列車は別として、幹線のそれもメインルートを行く列車を中心に、全車指定席化が進んでいます。新幹線にしても、登場時のようにのぞみ号の全車指定が復活する時代ですよ。自由席はひかりとこだまで、ということね。東海道・山陽区間なら、速達列車ののぞみは全車指定、そこまで急がない人野球に移動を強いられた人で間に合わない人は自由席もあって比較的すいているたのれっしゃにどうぞ、ってことや。昔なら、急行列車に相当する列車ってことになりましょう、特にこだま、それにひかりといった列車は、ね。

 さてやくも号の場合は、どうしても新幹線から山陰へのメインルートの一つになる上に移動量もそれなりに多い区間なので、短距離客はあまり意識しなくてもいいから、とにかく指定席で確実に乗車定員を守れるようにということです。


・・・・・・・ ・・・・・ ・


 さて、プリキュアも終わりましたので、今回はバスで岡山駅まで移動。宇野バスでの移動になりましたが、なぜか、いつもより客が異常に多い。

 この日は幸か不幸か、社会実験で岡山市内のバス運賃が無料になる日でした。

 まあ、ちょっとの距離なので、そのまま乗って、ほぼ立ったまま移動。

 とにもかくにも岡山駅前に到着し、駅構内に。


 まずは腹ごしらえ。今回も、一枚の切符もとい一杯のかけそばから。 

 ちなみに切符は1枚ではなく、乗車券と特急券の2枚ですわ。

 だけど、かけそばは2杯食べてもしょうがないし、わざわざ大盛にするほどでもないので、普通に1杯だけ。ただし、天かすを少し多めに入れてもらいました。


 腹ごしらえも出来たので、ちょうど到着する上り「やくも」の撮影に、まずは上りホームに。何枚か撮影した後、今度は下りホームの売店近くの乗車口の列の先頭に並びました。

 その位置から、やって来る「うらら」などを撮影。

 ちょっと売店を除いてみると、何と「やくもグッズ」が売られております。

 ちょっとしたどころか大いなる人気者になってしまいましたね。

 181系気動車の頃は、そこまで人気者ってことでもなかったはずよ。地元の岡山大学のそれも鉄道研究会という特殊な場所は別として、さしてこの列車が一般ウケするほど有名だった記憶はないのだけどなぁ。


 ぼちぼち待っていると、いよいよ、国鉄色やくもが出雲市側に連結された非貫通の言うなら「のっぺらぼう」的な顔を先頭に、ホームに入って参りました。

 今回も、4号車の自由席。元グリーン車です。

 前回の帰りに座ったのと同じ席に落ち着き、今度は向きを反対に変えて、伯耆富士大山に挑むことになりました。

 そう、その座席こそが「普通車特等席」!

 窓と座席の間の空間に荷物を置き、前の2座席のテーブルを出し、ついでにその前に座席の小型テーブルも出して、ローテクながらなかなかのビジネスルームが完成しました。


 さあ、そろそろ出発です。

 しかしなぜか今日は、客が多いな。と言っても、車両内に3割程度。関西方面からの女性の団体客というかグループ客が私の座席の前あたりを占拠されて、いささか騒がしい感じ。こんなのに付きまとわれて米子の先までは、ちょっとな。

 ま、いいか。こちらの必要なものはすべて揃えられたし、特に妨害される要素もないし、写真なら全開にかなり撮っておいたからね。


 さあいよいよ、国鉄色やくも号で、再び、山陰へ!

 列車は11時5分、定刻で岡山を発車しました。

                         (続く)


 

 

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