四季~あるいは死期~

メープル

第1話

やりたいことがあるなら

生きる理由には十分だ

動機なんてなんでもいい

生まれ変わるのに 時期はなくて

希望と絶望を乗せた風

繰り返す四季で一区切り


廻る春

選択した想像に 口ずさむ行進曲

叶えるための 一歩を出して


ほどなく見せつけられる現実

予定した未来に目を背けて歩く


散った桜の花びら 舞うことはなく

旅立った夢を 踏みつけないで



自分と戦う覚悟があるなら

生きる理由には十分だ

何者でありたいのか

生まれ変わるのに 時期はなくて

希望と絶望を乗せた風

繰り返す四季で一区切り



廻る夏

虚しさも残る 失敗続きの日々

横たわる蝉の亡骸 早すぎるエンドロール


焦げたアスファルトをはだしで駆け出して

成仏しきれない未練を振りほどきながら


渇いた望みを 炭酸水で潤せば

まだ大丈夫 望みは生き返る



死ぬ気で頑張る覚悟があるなら

生きる理由には十分だ

腐ってても始まらない

生まれ変わるのに 時期はなくて

希望と絶望を乗せた風

繰り返す四季で一区切り



廻る秋

進む解体工事 横目に重ねるかつての夢

薄暗い部屋に モニターの明かり


覗く白い光がかつての面影を焼く

まったく涙が出てくるよな


残り僅かな カードの残高

執着握りしめて 終着を探す



目指すべき場所があるなら

生きる理由には十分だ

後悔するより挑戦を続けよう

生まれ変わるのに 時期はなくて

希望と絶望を乗せた風

繰り返す四季で一区切り



廻る冬

死ぬほどの努力 打った手の数々

割れそうな心を テープで張り付けた 


今日までの昨日はこの日のためにあったんだと

そう思える時を凍えた体で待ちわびている


もう何度目かの 希死念慮を越えて

死なないための 起死回生を起こせ


立ち上がる足があるなら

生きる理由には十分だ

継ぎ接ぎだらけでもいいだろう

生まれ変わるのに 時期はなくて

希望と絶望を乗せた風

繰り返す死季に止めを刺して

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