第7話

 男湯へ入ってきた発育抜群女さん。

 バスタオルで隠しているけれど、歩くと大きな発育が揺れるのが見える。


 番台さんが彼女の腕を掴んで止めているが、それを振り払おうとするこで、ボヨンボヨンと柔らかそうな発育が揺れる。


「おい、お前の方が覗きだぞ」

「いえ、私は正義の名の元の覗きです! ‌自分の欲のためにしてる覗きと一緒にしないでください!」


「……何言ってるんだよ」


 番台さんも、半ば呆れ気味にそう言うけれども、放っておく訳にはいかないのだろう。

 正義感の強そうな番台さんは、手を引いて発育抜群女さんを連れ戻そうとしている。


「私は、異能力で心の声が聞けるんです!! ‌覗きが男湯に入る声を聞いたんです!」

「……はぁ? ‌本当かよ?」


「番台さんも見たと思うんですよ。立派な発育を持ってる、発育抜群男! ‌そいつが覗きの犯人です!」


 ヤバい、バレてるのか……。

 あいつは、そんな能力の持ち主だったのか。

 姿が見えなくても心が読めるなんて、俺の天敵だな……。



 番台さんが申し訳なさそうに言う。


「そう言うけれど、申し訳ない。私は、そいつの顔をしっかり見てなかったんだ。……あの、何かって、そいつの発育部分に目がいってしまってて……。発育部分はしっかりと目に焼き付いてるんだけどな……」


「なるほど、じゃあ、発育部分を発育させれば、特定できるわけですね!」



 あいつ、何か企んでいるな……。

 人の前部分を見てくのは、ダメだろと思うが。

 だからといって、いきなり浴室から出て行っても怪しいし……。


「そうだ! ‌そいつは、発育がすごいから、発育部分が大人モードになれば、手で覆い隠せないぞ!」


 発育抜群女さんは、良い事を聞いたと頷いて、ニコッと笑った。

 次の瞬間、バスタオルをはらりと、その場に落とした。


 女性としての発育部分があらわになる。



 かなりの自信があるのだろうか。

 堂々と立っている。

 腕組みをして、その上に発育部分を乗っける。



「さっきも見られてるんだろうから、減るもんじゃないしね! ‌これで、覗き野郎を暴き出してやるわ!」


 発育抜群女さん……。

 サービスが過ぎる……。


 その状態で、一人ずつ前部分を見ていくようだ。


 入口付近にいた男性の前に、一糸まとわぬ状態で仁王立ちする。

 その姿は、痴女を通り越して、もはや女王様のような立ち振る舞いだった。



「あなたは、どうかしら?」


 そう言って、発育を見せびらかすように、ボヨンボヨンと揺らす。


「さぁ、あなたの発育を見せなさい!」


 ……どうにかしないとダメだろ、あいつ。



 手段と目的が、おかしくなっている。

 裸を見られたくなかったから、覗きを捕まえるんじゃないのか?

 見られるのが嫌だっていうことじゃないのか?

 自ら見せるのは、良いのか……?


 どういう理屈なのか、やっぱり理解が出来ない……。


 ただ、満足そうに発育を見せて、相手の発育を見てる。

 やっぱりただの覗きなのかもしれない。


 番台さんも、なんだか協力しているようだった。


「申し訳無いが、拝ませてもらいたい。これも、犯人を捕まえるためなんだ。協力頼む!」


 発育抜群女さんが見せてる間に、番台さんは男性が腰に巻いているタオルをめくる。

 そこには、立派な発育があらわれる。



 二人でその場にしゃがんで、発育を凝視する。


「うーん、これじゃないな。思ったよりも小さい……」

「……え、これで小さいんですね。じゃあ、あなたは違いますね」


 それを言われた男性は恥ずかしそうに前部分を隠すと、浴室を走って出ていってしまった。


 なんだか、可哀想だな……。



 その後も、どんどんと男性の前部分を確認していく。

 発育抜群女さんの力が凄いのか、男性たちが真面目に協力してくれているのか?

 みんな、前部分を発育させている状態だった。


「あなたも小さいです! ‌次!」

「番台さん、こちらも小さいですね! ‌次!」



 発育を見られた人達はションボリと肩を落としながら、浴室を出していく。


 これは、俺の番になったら不味いぞ……。


 俺の発育が大人モードになると、バレてしまうというわけだよな……。


 さっきまでとは状況が変わったぞ。

 大人モードにならなければ風呂を出れなかったのが、今はバレないように子供モードでいなければならない。


 俺はその場を動けず、湯船に浸かったまま。

 今は不意打ちで発育を見せられてしまったから、ちょっと俺も発育中……。


 あの二人は、男性の発育を見る仕事をテキパキと済ませていき、俺以外の客はもう居なくなってしまった。



 発育抜群女は、湯船の前で一糸まとわぬ姿を見せてくる。

 これは、さっきの女湯と同じ状況だぞ……。



 発育抜群女さんと、目が合う。


 やっぱり顔も抜群に良い。

 俺のタイプだ。


 見つめられると恥ずかしくなり、俺は視線を落とす。


 そこに見えるのは発育。

 女湯の時と同様に、無防備に見せてくる。



 ……眼福。



 ……なんて言ってられないぞ。

 今度は状況が違うんだ。


 気を緩めると、やられる。

 気を引き締めて、我慢しないと。


 こいつの身体は見ないようにしなければ。



 そう思って視線をあげると、また目が合う。

 先程は俺自身が透明だったのだが、今は俺が見えているからだろう。

 俺に向かって、ニコッと微笑んでくる。


 ……すごく、可愛い。


 やはり恥ずかしくなって、視線落とす。



 ……眼福。



 ……これは、もうバレても良いかも。

 ……いやダメだ。見ないようにしないと。


 ……これ以上見ると、耐えられないぞ。

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