全ては破壊されました。あなたのせいです。あーあ
ぴのこ
おまえが殺した
バッファローの群れには三分以内にやらなければならないことがあった。
2024年2月29日、全世界の各地で“あるもの”が突如として現れた。バッファローである。全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れである。このバッファローが最初に確認されたのは日本時間にして2月29日12時36分。アメリカ大陸だった。以降、バッファローの群れは数十分単位で新たに出現し続け、世界各国の街と人々を蹂躙した。人類の勢力圏はたったの三日で壊滅的なまでに減少した。
無論、人類とてただ指を咥えてこの事態を見守っていたわけではない。各国とも一刻も早くバッファローを討伐せんと、持てる限りの軍事力を投入した。しかし失敗したのだ。あらゆる銃弾、爆弾、核に至るまでバッファローに触れた瞬間に“破壊”されてしまう。バッファローの肉体には傷一つつかない。驚くべきことに、バッファローの群れは空中を駆け上り戦闘機へと突進し、その勢いで戦闘機を全て破壊してしまった。あらゆるものを破壊する超硬度の肉体。破壊を妨げるものを許さない冷徹な意思。その怪物は、この世界を余さず破壊せんとする魔王が送り込んだ兵のようだった。
こうなれば人類に残された選択肢はひとつ。避難しかない。バッファローの猛進を恐れ、多くの人間は避難命令が下るよりも先に避難を開始していた。だが地球上に逃げ場など無い。避難の最中にバッファローの群れに襲われる。何億もの人間がそうして命を落としていった。
3月2日、アメリカフロリダ州ケネディ宇宙センターより一隻のスペースシャトルが打ち上げられた。名はムレータ号。一部の要人のみを乗せた宇宙船は、地球を捨て遥か宇宙の彼方へと旅立った。地上はもはやバッファローの群れに蹂躙され全ての人類が踏み潰されるのも時間の問題だろう。しかしあれはバッファローである。宇宙空間で生存できるかどうかはわからない。核ですら傷を負わない超生物である以上、それはもはや祈りに近いものであった。だが彼らは可能性に賭けた。
宇宙空間に出て少し。報告があった。バッファローの群れは宇宙船を追ってきてはいない。要人たちの命は助かったのだ。これで忌まわしいバッファローどもに怯えることなく天寿を全うすることができる。彼らは祝杯を上げた。もう戻ることはない故郷を、地球を想いながら。
「よし書けた!投稿…っと」
『宇宙船に突如出現するバッファローの群れ』
バッファローの群れには三分以内にやらなければならないことがあった。この宇宙船を破壊し尽くさなけばならない。三分で全てを破壊せよ。バッファローたちはそう命じられて生を受けたのだから。
全ては破壊されました。あなたのせいです。あーあ ぴのこ @sinsekai0219
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