妙なNPO法人♡海鮮社中のお頭
熟成二段仕込み
「問題は全て解決した。連絡待つ。秩父」
鮪小町には三分以内にやらなければいけないことがあった。
妙なNPO法人♡海鮮社中の本部では、お頭の鮪小町と勘定奉行の丼がお茶を飲みながら話をしている。
「私が好きな車両はE231だね」
「お頭は本当に電車が好きなんですね」
「パパが鉄道関係の会社に勤めてるからね」
パパとは家族のパパなのか、それともパパ活のパパなのか。丼は、聞くか聞くまいか迷ったが、時計を見て聞くのをやめることにした。
「お頭、休憩時間を過ぎたようです。時間もないので練習を再開しましょう」
鮪小町は、この日予定されているエスパーアイドルグループのオーディションを受けるため、丼を相手に透視術の練習をしていたところだった。丼は、テーブルに並べられた封筒のうちの一つを選び取ると、
「お頭、この封筒に入っている紙片には何と書かれていますか?」
鮪小町は、目を瞑り意識を封筒に集中させると、
「問題は全て解決した。連絡待つ。秩父」
丼は封筒から紙片を取り出すと、「問題は全て解決した。連絡待つ。父」と書かれていた。
「お頭、最後だけ惜しかったです。それでもオーディションはほぼ大丈夫だと思います」
「ちなみにオーディション受けるための電車賃483円は、近距離旅費で請求していいよね」
「400円ですね、わかりました」
483円である。丼は勘定奉行に向いてない。
「もう、こんな時間!あと三分で乗る予定の電車が来ちゃう」
「お頭、どうします?」
「仕方ない、テレポーテーションで駅まで行くよ」
鮪小町は、目を瞑り意識を集中させると、その場から消えた。どうやらテレポーテーションが成功したようだ。残された丼は、
「どうせならオーディション会場まで、テレポーテーションで行けば良いのに」
すると、丼の意識に誰かの意識が同期し始めた。
「丼、私だよ」
丼の意識に同期したのは鮪小町の意識だった。鮪小町からテレパシーが届いたのだ。
「さっきも言ったでしょ、パパは鉄道関係の会社に勤めてるって」
妙なNPO法人♡海鮮社中のお頭 熟成二段仕込み @Niiza_Chuo-ku
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