うさぎ 憎しみと復讐

鈴鹿 一文(スズカカズフミ)

第1話 うさぎ

「うさぎ」


  登場人物

中島太輔(なかしまたいすけ)(13)西南中学一年

西邑水無月(にしむらみなづき)(13)転校生

尹(ゆん)先生(30)担任

生徒A男子

生徒B男子

先生C男性

先生D男性

先生E女性



○中学・校門

   “西南中学”の文字。


○中学・うさぎ小屋

   うさぎの小屋の掃除をする。

   中島太輔(13)一匹だけ

   うさぎがいる

中島「あ・い・・う、うさこ」

   中島笑顔でうさぎを抱く。


○中学・教室・廊下

   チャイムなる。静かな

   廊下に生徒が出てくる。


○中学・教室・外

   “2年3組”のプレート。


○中学・教室・中

   中島太輔(13)本を読ん

   でいる、生徒A、生徒Bが

   本を取り上げる。

生徒A「本ばっか読んで、小説家に

 でもなるつもりかよ」

   中島、本を取り返そうとする。

中島「あ・・あ・・」

生徒B「本なんかより、俺の

 きな粉ぱんかってこいよ」

生徒A「俺、焼きそばパンな」

   本、ゴミ箱に捨てられる。

中島「あ・・あ・・」

生徒A「なんか言いたい事

 あるんか?え!?」

生徒B「お金はたて替えてくれ

 よな、また返すからさ」

   生徒A、生徒B去る。

   中島、ゴミ箱の本を拾う

中島「あ・・あ・・」


○中学・廊下

   中島、パンを抱えて、本を

   読みながら歩く。

   西邑水無月(にしむらみなづき)(13)と角で

   ぶつかる。

水無月「あいた」

   中島尻餅をつく。パン落ちる。

   中島、落ちたパンを拾う。

中島「あ・・あ・・」

   逃げるように去ろうとする。

   水無月、本を拾う。

水無月「ねえ、君、忘れものよ」

   中島、頭を下げる。

中島「あ・・あ・・」

   中島、去る。


○中学・教室・廊下

   チャイムなる。生徒が

   教室に入る。


○中学・教室・中

   生徒がザワザワ。

   尹先生(30)、と。

   西邑水無月(にしむらみなづき)(13)教室へ。

尹先生「西邑さんは関西から引っ

 越してきました。仲良くしてあげ

 てください」

   頭を下げる、水無月。

   静かになる生徒たち。


○中学・教室・中

尹先生「西邑さん、自己紹介して

 ください」

水無月「こんにちは、はじめま

 して西邑水無月(にしむらみなづき)です、よろしく

 お願いします」

尹先生「水無月君は、中島君の

 隣の席へ」


○中学・教室・中

   生徒A、生徒Bの前を

   水無月が歩く。羨望の目。

生徒A「かなりの上玉じゃん」

生徒B「胸でっけえ」


○中学・教室・中島の席

   水無月、中島の隣に着席。

水無月「さっきはどうも、よろしくね」

   中島、笑顔頭を下げる。

中島「あ・・あ・・」


○中学・教室・中

   中島が笑顔。水無月笑顔。


○中学・教室・中

   生徒A、生徒B怒り顔。

生徒A「おい、中島にヤキ入れんぞ」

生徒B「中島にやけやがって」


○中学・下駄箱

   チャイムなる。静かな

   下駄箱に生徒が出てくる。


○中学・下駄箱

   中島の靴が切り刻まれている。

中島「あ・・あ・・」


○中学・教室・廊下(朝)

   ザワザワした廊下。

   中島が歩くと、みな無言で

   避ける。

中島「あ・・あ・・」

   チャイムなる。

○中学・教室・外

   “2年3組”のプレート


○中学・教室・中

   クラスメイト、知らないふり。

○中学・教室・中

   生徒A、生徒Bにやにや。


○中学・教室・中島の席

   中島の机にうさぎの死体。

中島「あ・・あ・・」

   中島。跪く。泣く

   中島、うさぎの死体

   抱える。

   水無月登場、中島を

   抱きしめる。

水無月「中島君、何が言いたいの?」

   中島、水無月を見る

中島「あ・・あいつ・・殺す」

水無月「承ります」


○中学・教室・中

   生徒A、着席。教科書を開く。

   手紙。

水無月の声「今日の放課後、

 屋上で待ってます。大事な

 話があるので一人できてね。

 水無月」

   生徒Aにやける。

   水無月の席を見る。


○中学・教室・水無月の席

   水無月、生徒Aを見て、微笑む。


○中学・屋上(夕)

   生徒A入る。背中をむけて

   いた水無月振る。生徒A

   水無月の腕を掴む。

水無月「え、嫌・・」

生徒A「俺をよんだということは、

 そういうことだろ」

   ブラウスが簡単に破ける。

生徒A「え・・・何?」

水無月「きゃああ!助けてえ!

 (大声)」


○中学・屋上(夕)

   先生が3人駆けつける。

C先生「お前、何をしてる!」

   水無月、泣いている。

水無月「突然、A君が襲ってきて」

生徒A「違います!誤解です!」

D先生「とにかく職員室に来い」

   E先生自分の上着を脱いで

   水無月にかける。

E先生「水無月さん怖かった

 でしょう、かわいそうに」

生徒A「違うんだあ!離して

 ください」

   生徒A振り切り、足を

   滑らせ屋上から落ちる。


○中学・校門

   自転車に乗る生徒B。


○急な坂

   ペダルを漕ぐ生徒B

   前から車。ブレーキを握る。

生徒B「ブレーキが効かない」

   自動車迫る。

生徒B「ああああああぶつかる!」


○中学・教室

   生徒Aと生徒Bの席に並んで

   花瓶に花が置かれている。


○中学・うさぎ小屋

   土が盛られている。

   “うさこ”書いた板が

   たててある。中島、手を

   合わせている。

   水無月隣にきて手を

   合わせる。

中島「あ・・あ・・」

水無月「完遂いたしました」

中島「あ・・ありがとう」

水無月「どういたしまして」


終わり


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

うさぎ 憎しみと復讐 鈴鹿 一文(スズカカズフミ) @patapatapanda

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る