第2話

 リサを救い、報酬ももらったのだが、どうもコレジャナイ感がある。


 それは、お金だけでなくリサまでいただいたことだ。


 リサはラノベやエロゲに出てきそうなとても可愛らしい金髪美少女だ。


 ふんわりとした長い金髪にくりくりとした大きな青い瞳、年齢は13歳だからか胸は少し控えめだが、日本の女よりは成長度合いはいい方だ。


 それに、お淑やかで清楚だ。


 神官のコスプレとかしたらかなり似合いそうだ。


 今着てる白いブラウスもとても似合うけど。


 相手の心が読めるということだからあまり変なことは考えない方が良さそうだ。


 今にも心を読まれていそうで怖い。


 「ジョセフ様、冒険者になると言っていましたが、その後はどうするおつもりですか?」


 リサは膨らみかけの胸を俺の腕に押し当てながら問う。


 「まずは簡単なクエストからこなし、その合間に鍛錬を積もうと思っている。今のままではリサを守れないと分かった以上、俺自身もっと強くならなきゃと思うからね」


 「私こそ、ジョセフ様について行くと決めた以上は戦えるようにします」


 その可愛い顔でそんなことを言われると寧ろ戦わせたくないし巻き込みたくない。


 異世界に来て改めて思ったことは空気が俺のいた日本とは全然違う。


 車も電気も通っていないし、衛生面も正直微妙だ。


 文明レベルが中世であることを考えれば妥当かもしれないが、科学文明が色濃い環境で育った俺からしたらその辺りは不安だ。


 異世界転生、召喚された地球人達はその辺どうやって対処しているのか不思議で仕方ない。


 神様の手違いでこの世界に召喚されたが、一応特典として、言語理解と適応能力は付与されているそうだ。


 実のところ、能力の底上げや、色んなチート能力を貰えるチャンスはあったが俺はきっぱりと拒否した。


 大きな力には代償が大きいからだ。


 今考えたらチート能力を貰えばよかったと思うが、時すでに遅しだ。


 そんな感じに歩いていたら、いつの間にか冒険者ギルドに到着していた。


 ギルドはラノベやアニメで見た通りの見た目で、美人な受付嬢に、真昼間だというのに冒険者達はジョッキを片手に酒を飲み干していた。


 俺はすぐさまカウンターへと駆け付ける。


 「すみません、冒険者になりたいのですが登録って受け付けていますか?」


 「はい、冒険者になるための加入登録ですね?それでしたら、今から用意する書類に記入してください。文字が分からなければ口頭で言っていただければ私共が書き記しますので」


 受付嬢は営業スマイルを浮かべ、丁寧に説明してくれた。


 「私がいますので、分からないことがあれば私に言ってください」


 リサは二枚の書類を受け取り、一枚を俺に手渡す。


 俺は書類に目を通す。


 見たことないはずの文字なのに、読める。


 言語理解のおかげだろう。


 書類に記されている内容は役所によくあるものと一緒だ。


 名前、年齢、誕生日だけ。


 よく見るとこの世界の文字はどことなく英語に似ている気がする。


 もしかしたら物語の主人公達のいた異世界は地球と何かしらの繋がりがあったのかもしれない。


 俺はそんな気がした。


 「終わりました」


 「私も終わりました」


 俺とリサは書類を受付嬢に渡す。


 「はい、確かに受け取りました。それでは最後にこの書類に手をかざしてください」


 言われるがままに俺は手をかざす。


 刹那。


 書類は一瞬でカードに変換された。


 「このカードは冒険者の身分証になりますのでくれぐれもなくさないように、紛失した場合は再発行となりますが手数料をいただきますのでご了承ください」


 流れは物語と一緒だ。


 俺とリサは受付嬢に冒険者のルールを教わり、早速掲示板で依頼を探すことにした。


 冒険者のルールの内容は、ランクに見合った依頼を受けること、他冒険者の依頼を横取り、妨害をしないこと、内容によっては罰金、資格剝奪があるようだ。


 この世界、中世レベルとバカにしていたが侮れない。


 恐らく魔法やらアーティファクトの類もあるのだろうが、まず俺には使えないだろう。


 「ジョセフ様、この以来とかどうでしょうか?」


 リサが見つけた依頼の内容は下水道の掃除だ。


 王女様にこんなことをさせるわけにはいかないと俺は却下した。


 ああでもないこうでもないと、中々決まらない中、後ろから声を掛けられる。


 「ねえ、私とパーティ組んでみない?」


 俺は後ろを振り向く。


 声をかけてくれた人は、くせ毛の凄い亜麻色のツインテールで胸は大きく、それなのに筋肉で引き締まったギャルっぽい美女だ。


 服装は露出が多く、目のやり場に困る。


 そんな俺を見透かしたかのような顔でリサはその美女を睨む。


 「あの、私達間に合っていますので……」


 「いやいやリサ、どの依頼を受けようか迷ってるんだから一緒に組んだ方がいいんじゃない?」


 「そうだよ~、私こう見えても三日前に冒険者になったばかりだけどあなた達よりは先輩よ~」


 見た目通り、軽い性格のギャルだ。


 「自己紹介忘れていたわね。あたしジンジャー、よろ~」


 「ジョセフ」


 「リサです……」


 リサはとても不機嫌そうだ。


 「んじゃ、ジョセフにリサっち、早速なんだけどさ、一緒にこの依頼受けてみない?」


 ジンジャーが選んだ依頼の内容は討伐系ではなく、浮気調査だった。


 「見た目とは裏腹に随分とミステリーな以来選んだね」


 「さっき言った通り、三日前に冒険者になったからランクが低いのよ。だから最初は戦わない依頼を受けようと思ったの」


 リサは相手の心が読めるし浮気調査は丁度いいかもしれない。


 「そうなんですね、ジンジャーさんはてっきり脳筋だとばかり思っていました。」


 「よく言われるから否定はしない。リサっちは見た感じ、ジョセフの妹?」


 ジンジャーはニヤけながらそう言うと、リサは眉を顰め、青筋を立てていた。


 「いいえ、旦那様です!それに、ジョセフ様は私に一途ですし、ジョセフ様は!」


 リサは声を大にして俺のことをであると強調する。


 「ふ~ん、そっかぁ、なら諦めるしかないわね~。あわよくばこのイケメンを私のものにして私のヴァージンを捧げたかったんだけどなぁ……」


 「からかわないで下さい!ジョセフ様の童貞は私がいただきますし、ジョセフ様にヴァージンを捧げるのは私だけです!」


 「変な話をここでするんじゃあない!さっさとこの依頼を受付に持っていくぞ!」


 俺はすぐさま受付嬢に依頼申請を行い、「お気持ち察します……」とどこかしら俺の顔を見てくすくすと笑っていた。


 ハーレム主人公になったつもりはないのだがなぁ。


 俺は今後の旅が不安になり、肩を竦め、溜め息を大きく吐いた。

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オタク気質な不良と異世界王女(旧題、 神様の手違いで異世界転移させられた少年は異世界でハーレム生活充実になりました) JoJo @jojorock

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