たしかに俺は勇者だった
@nimono2
第1話 勇者、女になる。
目が覚めるとそこには、俺を覗き込む複数の女がいた。
「姫花(ヒメカ)、どうしたの?いきなり!」
女のひとりはそう言うと、俺の肩を思い切り揺さぶる。
「いたい、いたい!」
思わず叫んでしまった自分の声を聞いて、一瞬、思考が停止した。
今のは、俺の、声か…?
「ごめんごめん、強くしすぎた。よかった、姫花、何ともないのね」
姫花って、誰だ?
でもこいつらは、明らかに俺のことを姫花と呼んでいる。
「突然倒れるから、本当にビックリしたよ。しばらく動かないから、救急車呼ぼうとしてたとこだったの」
どうやら俺は突然倒れたらしい。
この時初めて自分の体に目をやって、唖然とした。
俺の、筋肉…は………?
俺が鍛え上げてきた美しい筋肉たちは何処へ。
俺の目に映るのは、なんとも弱々しい、今にも折れそうな細い脚だった。
思わず涙が出そうだった。
いつも冒険を共にしてきた筋肉。
どんなに辛い道のりも、筋肉のおかげで乗り越えられた。
恐る恐る脚を触ってみると、驚くほど柔らかくスベスベしていた。
な、なんだこの女みたいな脚…
そして目線を上にした俺は気付いてしまった。
男にはあるはずのない、胸のふくらみに。
「ちょっと、姫花…?脚がどうかしたの?」
周囲の女の声で我に返った。
危なかった。
彼女たちは大分奇妙な顔つきでこちらを見ている。
しかし、完全に理解した。
俺は今、女になっている。
ーー嗚呼、イスタグルニア国王、聞こえますか。
勇者エンゼルは今、女になっていますーー
たしかに俺は勇者だった @nimono2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。たしかに俺は勇者だったの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます