全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ【3月15日】

たっきゅん

3月15日、日付変更間際の攻防

 主さまには三分以内にやらなければならないことがあった。


「よし、これで記入が必要なところは埋まったな」


 それは毎年やってくる確定申告という物凄く面倒な儀式だ。今はネットで簡単に……とは言うがとてもめんどくさい。まあ、確定申告会場や税務署へ出向く必要はなくなったので少しは楽そうだ。


「っと、還付金の振込先口座はっと……」


 しかし、その最終日まで書類の作成を先延ばしにしていた主さまは期限である3月15日の23時57分を過ぎた今でも提出出来ずにいたのだ。


「マイナンバーよしっ。年間損益計算書の数字もあってるな。所得税、住民税計算も一致しているし問題ないだろう。―――売買代金10億円か。ちょっとやりすぎたな」


 源泉徴収という制度がある。これは収入としてお金を貰うときに既に税金分引いてから渡すものだ。しかし、控除がある場合でも引かれてしまうので申告しなければお金は還ってこない……。そして、税金をこの確定申告期間内に正しく申告して納めなければ追徴課税が課されて余分にお金を収めるにことになる。


「時間は……あと2分あるか。今年も終わったな」


 ご主人さまは最近になって株式取引を始めたらしい。最初の証券口座を開設してからすぐに、ネットで見つけた手数料がもっと安い口座を開設し複数の証券口座で取引を行ったせいで確定申告の義務が発生したのだ。


「よしっ、送信!!!」


 主さまはバッファローのルーターである私を通じてインターネットの向こう側、国税庁へと申告書類を送信した。しかし、同じことを考えているギリギリにしか動けないご主人さまの同類、そして私の仲間のバッファローたちを通ったデータが詰まったのだろう。


「おいっ! いつまで回ってんだよ!!!」


 受付完了画面に移行しないパソコン画面に主さまが焦りますが大丈夫。私たちはさながら全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ。他の回線からのアクセスを押し退け、無事に全てを受理させた。

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全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ【3月15日】 たっきゅん @takkyun

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