法律にうるさい美人弁護士は、ちょっと面倒だが、とても愛おしい

春風秋雄

この美人弁護士、どこかで会ったことが・・・

目の前にいる女性弁護士は、俺のために一生懸命説明してくれている。しかし、ところどころ難しい法律用語が混じっているその説明は、俺にとっては外国語を聞いているようで、半分も理解できていなかった。

「倉本さん、わかりますか?先ほども言いましたが、この契約は法律上成立しています。ですから、いまのままだと、倉橋さんに契約書に書かれているダイヤモンドの指輪代金120万円の支払い義務が生じているということです」

この女性弁護士は、俺と同じくらいの年齢だろうか。すると35歳前後だろう。いつ弁護士になったのかはわからないが、話し方からすると、それなりの年数を経験しているような、自信に満ち溢れた対応だった。

「しかし、私は印鑑を押していないんですよ。先方もこの値段で買えるのは今だけなので、とりあえず、仮申し込みということで名前だけ書いておいてくださいと言っていたんです。だから、正式な契約のつもりではなかったのです」

「民事訴訟法第228条4項に、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」とあります。つまり、書いてある名前が自署による署名の場合は印鑑を押していなくても真正に成立したものと推定されるのです。この契約書のお名前は、倉本さんご自身が書かれたのですよね?それは署名ということになりますので、この契約は成立しているということです」


俺がこの弁護士に相談した内容はこうだ。2か月くらい前に、婚活アプリである女性と知り合った。2回くらいデートしたところで、結婚を前提としたお付き合いをしたいとその女性から申し出があった。こちらとしても、良い印象を持っていたのでその申し出に承諾して、結婚を前提としたお付き合いということになった。それから2回デートしたところで、その女性から今月の営業成績が悪いので助けてくれないかと言われた。その女性は宝石店で働いていた。どうせ婚約する時には婚約指輪を買わなければならないのだから、自分がもらう指輪は自分の店で購入してほしいということだったので、その女性に連れられてお店に行った。婚約指輪は給与の3か月分が当たり前だから、俺の給与であれば150万円くらいの物にするべきだが、今週いっぱいキャンペーンで、今なら150万円のダイヤが120万円で買えるということだった。さすがに120万円となると即決はできないと言うと、とりあえずキャンペーン価格でこの商品を確保するために仮申し込みということで名前だけでも契約書に書いて欲しいと言われて書いたのだ。ところが、それから半月くらいしたところで、その女性からやっぱり結婚の話はなかったことにしてくれと言われ、お店に仮申し込みの取り消しをしたいと連絡したら契約は成立しているので、代金は支払ってもらわなければならない。一括での支払いが無理な場合はローンを組んでもらうので来店してほしいと言われたというのが経緯だ。

「じゃあ私は、120万円は支払わなければならないのですか?」

「倉本さんのお話を伺っていると、この契約はよくあるデート商法です」

こういうのをデート商法というのか?

「デート商法の場合、消費者契約法に基づいて、デート商法だと知った時から1年間は解約できます」

消費者契約法なんて法律があったのか?

「じゃあ、この契約は解約できるのですか?」

「問題ないでしょう。今から内容証明郵便を作成しますので、少々お待ちください」

女性弁護士はそう言って、ノートパソコンのキーボードを叩き始めた。何とか解約できそうだ。俺はホッとした。

それから俺は、もらった名刺にもう一度目をやる。『弁護士 奥林紀子』と書かれた文字を見て、どこかで見た名前だと思うが、思い出せない。顔を見れば、切れ長の目にも覚えがあるように思えるが、やはり思い出せない。

奥林弁護士が、作成した書面をプリントアウトして、俺に見せる。

「この書面を先方に送付します。代理人弁護士がついているとわかれば、法律的に勝ち目はないと先方は思うでしょうから、素直に解約に応じてくれると思います」

「じゃあ、よろしくお願いします」

それから委任状の作成や、支払う報酬についての説明を聞いて、今日のやりとりは終了した。立ち上がり、退出しようとしたとき、俺はどうしても気になったので、奥林弁護士に聞いた。

「あのう、先生と私、どこかでお会いしたことなかったですか?」

「ありますよ。倉本誠一君ですよね?私は最初から気づいていましたよ」

「あのう、どこでお会いしましたっけ?」

「大学の映画鑑賞サークルで一緒でした。私は司法試験の勉強に専念するために3年のときに辞めましたけど」

そう言われて思い出した。

「ひょっとして、ノン子?」

「そうですよ。久しぶりですね」


俺たちは八王子にある大学へ通っていた。昔から司法試験合格者数がトップクラスの大学だ。法学部に通う学生の多くは司法試験を目指していた。俺は商学部だったので、司法試験には縁がなかったが、同じサークルにいた法学部の奥林紀子も司法試験を目指していた。映画鑑賞サークルは、週に1回程度集まり、みんなで映画を鑑賞するサークルだったが、その実態は、映画を観たあとの飲み会や、映画鑑賞とは関係なくバーベキューに行ったりするのが目的で集まるグループだった。奥林紀子は皆からノン子と呼ばれていた。当時のノン子は目立たない存在だった。飲み会などにも参加はするが、純粋に映画を楽しみたいといった感じでサークルに参加していた。ノン子がリクエストする映画は、『十二人の怒れる男』や『真実の行方』といった法廷ものの映画ばかりだった。俺はノン子が選ぶ映画は結構好きだった。偶然にも飲み会の時、ノン子が俺の隣に座ることが度々あった。だから、飲み会ではよく話をした記憶がある。ノン子がサークルを辞めたのは大学3年になってすぐのことだった。だから、13年ぶりということになる。13年前のノン子と目の前のノン子ではかなり印象が異なっていた。学生時代は野暮ったい女の子だったが、今は弁護士という職業もあるのだろうけど、洗練された女性といった感じがする。そして、とても綺麗になった。


俺は仕事帰りの遅い時間に法律事務所を訪ねていたので、この後の予定はないというと、ノン子が居酒屋へ誘ってくれた。

「倉本君は結婚してなかったの?」

「ずっと独身でいいと思っていたんだけど、両親からもそろそろ結婚しろと言われ、会社でも、これから部下をもつようになったときに、結婚していないやつに結婚している部下の気持ちはわからないと上司に言われてね」

「そうなんだ。それで婚活アプリに登録したんだ」

「そうなんだけど、変な女につかまっちゃったようだね」

「大学時代はあれだけモテていたのに、周りにそういう対象の女性はいなかったの?」

「俺、大学時代にモテてた?」

「サークルでは倉本君のファンの女の子多かったよ」

「そうなんだ。俺、いままでまともに女性と付き合ったことないんだよ」

「そうなの?」

「女の子と仲良くはなるんだけど、いい人止まりで、なかなか交際まで行かないんだよ」

「へえ、そうなんだ。だったら、いまだにチェリーボーイ?」

「まあ、それは適当にやっているけどね。それより旧姓のままだから、ノン子も結婚してないの?」

「結婚はしたけど、今離婚調停中。名字が奥林なのは、弁護士は基本的に戸籍上の本名を使わなければいけないので、結婚で名前を変えたくなかったから、結婚するときの条件で旦那も奥林姓にしてもらったの」

「そうなんだ。それで離婚するの?」

「旦那の浮気の証拠をつかんだから、思いっきり慰謝料をとって別れるつもり」

「弁護士の女房は怖いね」

「私は自分の身を守るために法律の勉強をしたんだから」

「身を守るため?」

「私が高校1年のときに、お父さんが破産したの。お父さんは小さな工場を経営していたのだけど、友人の借金の保証人になっていて、その借金を背負わされたの。いきなり工場も住む家もなくなった。破産したあとに法律に詳しい人に聞いたら、父は連帯保証人ではなくて、単なる保証人だったから、破産しなくても良い方法はいくらでもあったらしいの。でも父は法律に無知だったから、保証人になった以上は仕方ないと思ったんだろうね。だから、私は自分の身を守るために法律を勉強しようと思ったの」

「そうなんだ。それで弁護士になったんだね」

「そう、倉本君みたいに、変な女にたぶらかされて困っている人を助けるためにね」

「ありがとうございます。おかげで助かりました」

ノン子と久しぶりに話して、楽しい時間を過ごし、俺たちは連絡先を交換して別れた。


ノン子から飲みに行こうと連絡があったのは、あれから1か月ほどした頃だった。

「あれから宝石店からは何も言ってこないから、もう大丈夫だと思うよ」

「ありがとうございました」

「それより、聞いてよ倉本君」

「どうしたの?」

「うちの旦那ったらさあ、浮気をした原因は私にあると言うのよ」

「どういうこと?」

「うちは4年くらい前からレスだったの。もう子供を作る気もなかったし、ちょうど仕事も忙しい時だったし、旦那がいくら求めてきても拒否していたの。旦那の言い分は、私が拒否するので、欲求を解消するために外に相手を見つけるしかなかったというの」

「法律的に、それは通るの?」

「もちろん、どういう理由があれ、不貞行為は許されないわよ。ただ、原因は私にあるからといって、慰謝料の減額を要求してきたというわけ」

「それは減額しなければいけないの?」

「判例をみると、婚姻は男女の精神的・肉体的結合であるとしているの。だから、婚姻中に病気とかで不能な状態でもないのに拒否し続けた場合、慰謝料の支払いを命じられた例がいくつかあるの」

「じゃあ、やっぱり慰謝料の減額ってことになるのか」

「でも、慰謝料が認められたケースのほとんどは、結婚してからまったく行為がなかったケースや、結婚してそんなに年数が経っていない時期から拒否したケースで、それなりの年齢になってからレスになった場合の例は特殊な例以外はないの。だからこちらも反論できる要素はあるのよ」

「へえ、そうなの?」

「まあ、いずれにしても、調停は裁判ではないので、お互いの妥協点を話し合う場所だから、勝った負けたといったことではないんだけど、私は代理人を立ててないから、調停委員に赤裸々にあれこれ話さなければいけないのが苦痛」

こういう場合、女性弁護士は大変だ。

「こんなこと聞いていいのかわからないんだけど」

「何よ?」

「4年間も行為がなくて、ノン子には欲求はなかったの?」

ノン子がジッと俺の顔を見た。

「そういうことを聞く?」

「ごめん、興味本位で聞いてしまった。この質問はなしにして」

俺はそう言ったが、ノン子は気にせず話してくれた。

「私だって、欲求がなかったわけではないよ」

「そうなの?だったらどうして?」

「あの人とは嫌だった」

俺は意味がわからなかった。

「旦那とは、父が働いている会社の社長さんの紹介で結婚したの。父が破産して、路頭に迷っている時に、手を差し伸べてくれたのがその社長さん。父はその社長さんの会社で働いて、何とか家族を養ってくれた。私の大学進学の資金もその社長さんが貸してくれたの。借りたお金は私が働き出してから返したけどね。そんな社長さんからの紹介だったから、断れなかったの」

「じゃあ、好きではなかったんだ?」

「好きも嫌いも、旦那とは2回くらいしか会ってなかったもの。どんな人かもわからなかった。でも一緒に暮らしていて、どうしても好きになれなかった。そういう行為自体、旦那が初めてだったから、初めは興味があったけど、次第にこの人とするのは嫌だなと思うようになった」

「じゃあ、旦那が浮気をしなくても離婚したかったんだ。だったら、都合よく浮気してくれたってこと?」

「ていうか、証拠はないんだけど、結婚する前から他に何人か女がいたような気がする」

「そうなの?」

「証拠をつかんだのは、その中の一人ということ」

ノン子は何でもないようにお酒を飲んでいるが、結婚してから大変だったのだろう。その分、仕事に打ち込んだのではないかと思う。


店を出て、階下に降りるためにビルのエレベーターに乗った。1階のボタンを押して、ドアが閉まりエレベーターが動き出した。ノン子は酔っぱらっているのか、俺に寄りかかってくる。ノン子の方を見ると、ノン子も俺を見上げ、目が合う。俺は引き寄せられるようにキスをしようとした。すると、ノン子は手で俺の口を押え、

「ダメだよ。まだ離婚は成立していないんだから」

と言った。ということは、離婚が成立したら良いということか?

俺がそう聞こうとしたところで、エレベーターが1階に着き、ドアが開いた。


それ以来、ノン子とは毎週末、食事をして飲むようになった。いつの間にかノン子に惹かれている自分がいた。毎回誘ってくるのはノン子なので、ノン子もそれなりに俺に気があるのだと思う。エレベーターの中でノン子が言った「まだ離婚は成立していないんだから」という言葉が頭から離れず、早く離婚しないかなと俺は思うようになった。しかし、調停は長引いているようだった。


離婚が成立したとノン子から報告がきたのは、俺が初めてノン子の法律事務所を訪ねてから8か月経った頃だった。

「離婚成立おめでとう」

今日はいつもの居酒屋ではなく、ちょっと洒落たレストランで乾杯をした。

「ありがとう。でもちょっと困ったことが起きた」

「どうしたの?」

「住む場所がなくなった」

「どういうこと?」

「離婚したら、今まで住んでいたマンションではお互いに広すぎるので、解約することにしたのだけど、新しいマンションを探そうと思って、不動産屋さんにいったら、最近は弁護士の入居を断る大家が多いって言われた。それで2件ほど申し込んでみたのだけど、やっぱり断られた」

「どうして?弁護士と言えば、それなりの収入がある職業というイメージではないの?」

「収入とかではなくて、退去するときに原状回復の件で必ずもめるかららしいの」

「もめるものなの?」

「もめるだろうね。大家はいままでの慣習でこれは入居者の負担で原状回復してくださいって言ってくるけど、その慣習は間違いで、それは大家が負担すべきだという判例がいくつも出ているの。弁護士はそれを知っているから、それは大家負担ですと当然に主張する。大家はすべての入居者にそうやってきたと言うけど、弁護士は判例を盾にとって引かないからね。2020年に民法が改正されて、畳や壁紙などの通常損耗は大家負担ということが明文化されたから、なおさらだよね」

「じゃあどうするの?俺の名義で借りて、そこに住む?」

「それは出来ない。名義貸しは無断転貸になり、禁止されていることだし、最悪は詐欺罪に問われるからね。弁護士の立場でそれをするわけにはいかないよ」

俺は少し考えてから、思い切って言った。

「だったら、俺の部屋においでよ。一緒に住もう」

ノン子は驚いたように俺を見た。

「いいの?」

「いいよ。2LDKで少し狭いかもしれないけど、分譲マンションだから、誰かに何か言われることはないから」

ノン子はウンと頷いた。


翌週、ノン子が引っ越してくることになった。寝室は分ける?と聞くと、2LDKで寝室を分けていたら狭くなるので、一緒でいいと言ってくれた。俺は急いで自分が使っていたシングルベッドをダブルベッドに買い替えた。

ノン子はほとんどの家具は処分したそうで、洋服ダンスと整理ダンス、そして小さな鏡台だけ持ってきた。二部屋あるうちの一部屋は俺の荷物もあるので、納戸と化した。確かにこれでは寝室を分けられない。

就寝時に、ノン子は何の抵抗もなくダブルベッドに入って来た。俺はいよいよだと思い、ノン子に手を伸ばした。するとノン子はこちらを向いて、申し訳なさそうに言った。

「ごめん。今日は準備してなかったから、明日にしてもらえるかな」

そうか、俺は普段この部屋でそういう行為をすることがないので、避妊具は用意してなかった。これは失敗だった。

「わかった。じゃあ、明日俺が買っておくよ」

俺がそういうと、ノン子は一瞬、ポカンとした顔をしたが、すぐに

「ああ、じゃあ、それは倉本君にお願いする」

と言って、向こうを向いてしまった。


翌日の就寝時、俺が先にベッドに入っていると、ノン子がベッドの前に座った。

「倉本君、お話があるんだけど」

何事かと思い、俺は起き上がって、ベッドに腰掛けた。

「2023年7月に刑法の一部が改正されて、従来の強制性交等罪と準強制性交等罪を統合して、不同意性交等罪になったの」

一体、何の話が始まったのだ?

「それで、簡単に言えば、相手が同意しないことを表明出来ない状態で行った性行為は、すべてこの法律で罰せられることになったのね」

俺には半分も理解できていない。

「同意しないことを表明出来ない状態とはどういう状態かということに関しては、条文に色々書かれているのだけど、まだ法律が新しいから、これは大丈夫、これはダメといった具体的な判例はこれから出てくると思うの。それまでは、多分大丈夫かなといった感じなわけ」

ノン子は俺の様子を探りながら話を続ける。

「私は弁護士という立場から、曖昧なことはできないから、明らかに双方に同意があったという証を残したいと思って、こういうものを作って来たの。ちょっと見てくれるかな」

ノン子はそういって、1枚の書面を差し出した。

それは『同意書』と書かれ、

倉本誠一(以下甲という)と奥林紀子(以下乙という)は、これから行う性行為においては、双方に同意があって行うことを確認し、後日異を唱えることがないことを約するものであり、その証として、ここに同意書を作成し、甲乙それぞれが署名押印をする。

と書かれ、日付と時間を明記するようになっており、すでに乙欄にはノン子の署名押印がされていた。


「これ、必要なの?」

「私も弁護士だから、中途半端なことはできないからね。私の欄は署名押印済みだから、倉本君の欄に署名押印してくれるかな」

弁護士は、みんなこんな同意書を書くのか?絶対書かないと思う。こんなことを考えるのはノン子だけだろう。

「なんか、毎回これを書いているとムードがないね」

「そう思って、とりあえず1週間分作っておいたから、2回目からは日付と時間だけを記入すればいいよ」

ノン子はそう言って、同意書の束を渡してきた。

「ノン子、これ1週間分って言ったよね?」

「うん」

「8枚あるんだけど?」

「何か問題ある?」

「いや、問題ないです」


初めての行為が終わったあと、俺はノン子に言った。

「ノン子、離婚したばかりだから、すぐにとは言わないけど、俺たち結婚しないか?」

「私でいいの?」

「今の俺は、ノン子しか考えられない」

「うれしい。私、本当は学生時代から倉本君のことが好きだった」

「そうなの?」

「飲み会のとき、誰よりも早く倉本君の隣に座るようにしてたもの。店に遅れて入って、誰かが先に座っていた時は悔しかった」

「そうなんだ。やけに隣になることが多いなとは思っていたんだけど」

「本当は、私から告白して、付き合いたかったけど、私みたいな野暮ったらしい女は相手にされないだろうなと思って、諦めていた」

「今はすごく綺麗だよ」

「ありがとう」

「結婚したら、あの同意書は必要ないんでしょ?」

「不同意性交等の条文には婚姻関係の有無にかかわらずと書かれているから、結婚しても同じだよ」

「そうなんだ」

「あの同意書が500枚たまったら、ハワイ旅行へ行こうか?」

「500枚かあ」

「500枚なんか、1年ちょっとでたまるわよ」

どれくらいのペースでするつもりなのだ?

「ねえ、結婚するなら、婚約指輪プレゼントしてくれるのでしょ?」

「それはもちろん」

「そしたら、婚活アプリで知り合った女性には120万円のダイヤにしようとしたのだから、私にはそれ以上の物にしてね」

結局、あの時のダイヤの指輪は、解約しなくてよかったのではないのか?

でも、あのとき解約したから、今となりにノン子がいる。

俺はもう一度あの宝石店へ行かなければならないのか?

キャンペーンはやっているのだろうか?


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