ダンジョンボスを倒したら
温故知新
ダンジョンボスを倒したら
ダンジョンボスを倒したパーティーには、三分以内にしなければならないことがあった。
それは、倒したダンジョンボスの素材回収とダンジョンからの脱出である。
なぜ、三分以内に素材回収と脱出しなければいけないかというと、三分を超えた途端、元気いっぱいのボスと再び戦う羽目になるからである。
正直、疲労困憊な上にアイテムも不足している状態でボスと再戦などごめんだ。
だが、強い武器が作れたり、大金が手に入ったり出来るボスの素材は、万年金欠の冒険者としては何としても手に入れたい。
ゆえに、ボスを倒したパーティーは、素材回収をしながら、脱出の手筈を整えなければならない。
「急げ! 一分経ったぞ!」
ボス部屋に散乱した大量の素材達を手分けしてマジックバックに入れていく俺達。
「転移魔法の準備は?」
「あと三十秒で完了するわ! さっきのボス戦で思った以上に魔力を消費したから!」
仲間の言葉に思わぬ下唇を噛んだ時、素材回収をしていた他の仲間達が、マジックバックを持って俺のところに集まってきた。
「回収終わったぞ!」
「こっちも、金になりそうなものは全て回収した!」
ボスの素材を手にし、清々しい笑みを浮かべる仲間達。
そんな彼らを見て安堵した直後、真っ白な光の粒子が俺達を包み込んだ。
「それじゃあ、さっさと転移させるわね!」
「あぁ、頼む」
タイムリミットまで残り三十秒。
今回もギリギリではあったが、無事に帰れそう......
「ああっ! あそこにまだ素材が残ってる!! ねぇねぇ、今から取りに行ってもいい?」
「そんなのダメに決まっているだろうが! またボスと戦いたいのか!!」
「そんなぁ」
帰り際に素材の取り忘れに気づくことはよくあること。
だが、そんなことを一々気にしていたら、命がいくつあっても足りない。
「いくわよ! 《テレポート》!」
落ち込んでいる仲間の肩にそっと手を回し、俺は他の仲間達と共にダンジョンを脱出した。
これが、数多のダンジョンを攻略してきた俺達の日常である。
ダンジョンボスを倒したら 温故知新 @wenold-wisdomnew
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます