ディストピア

@makurasuke

むかしのおはなし

「さあ、脱ごうね」

「うん」


 二人の女があった。


 一人は小さく華奢な子で、ワンピースを着ている。

 もう一人はグラマーな体躯の女性で、タンクトップとチャック付きのショートパンツである。


「ばんざーいだよ」

「はーい」


 手早く脱がした。手慣れた手つきである。


「さ、こっちきて、のんびり...絵本でも読もっか」

「うん! えほん! えほん!」


 小躍りしながら、嬉しそうに少女はお姉さんと呼ぶ人の膝に座った。


「じゃあ、読むよ」

「はーい!」


 これは、いまからずいぶんむか~しのおはなしです。


 むかしむかし、おとこといういきものがいました。


 ...おとこというのは、わるいやつらで、おんなのひとたちをいつもこまらせていたのです。


「おとこっていうのはわるかったんだね!」

「...そうだよぉ」


 それをみたかみさまは、おんなのひとにちからをくれました。


 おんなのひとはみんな、ふたなりになったのです。


「おねえちゃんはふたなりだもんね!」

「ええ、そうよぉ」


 そして、わるいおとこはてんばつとして、み~んなおんなのひとへとかえてしまいました。


 こうしてふたなりになったひとびとは、おんなのひとになったおとことくらすことにし、せかいがへいわになったのでした。めでたしめでたし...


「ねえ、おねえちゃん」

「ん?なに?」

「わたしって、いまおんなってことは、むかしだったらおとこだったの?」

「……賢いねぇ。そうだよぉ、でも神様が女の人にしてくれたからね、悪くないからねぇ」

「そっか! えへへ!」


 嬉しそうに少女はふたなりへ微笑みかけた。


 ふたなりは...静かに本を閉じて・・・・・・


「あっ///」

「さあ、今日も...お姉ちゃんと遊ぼうね!」


 少女に覆いかぶさった。

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