解説「星」

 夕咲きの花の実白く眩しくて

 夏の残滓を冬の終わりに



 ***   ***   ***



 白い花は夕顔でした。

 夕にひっそりと咲く花のように

 静かにお暮らしになっていました。

 あの

 儚く散った白い花を

 ひかるきみはふと思い出したのでした。

 そんな冬の終わりに。




  『夕顔』




 ***   ***   ***



  『夕顔』



「あの花は?」と

 ひかるきみがお尋ねになった 白い花。

 それが きっかけ

 だから、夕顔。


 噂の光の君との逢瀬

 それは 命取り

 嫉妬を浴びて 儚く散って……



 かすかに光る星に目を留め

 愛でるものの

 星の命は尽きて逝く。

 墨のような雲が星を捕えて

 隠してしまったから。

 もう、会えない。


 もう、会えない けれど。

 夕顔の忘れ形見を ようやく見つけた。


 この娘も なんと 美しいことか!





 ***   ***   ***



 お星さまになってしまった(他界した)夕顔 という意味で詠んでみました。



 ※当時は、他界することを星に例えることはなかったと思いますので、(お隠れあそばす→消えて逝く)

 現代的な解釈のもとで……となりますが。




 あるいは、

 更に深読みして(下の句の季節を人生になぞらえ)

 夕顔の娘の玉鬘まで含ませて。

 希望の星としての玉鬘を見つけたこと。

(その後のあれこれも、下の句で包含)



 夕顔の娘 玉鬘の発見を「星」とみなすのも

 やはり

 現代的な解釈かもしれませぬが


 ご容赦を。








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星の瞬き【番外編】 結音(Yuine) @midsummer-violet

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