第二話 お前もか

 昼。


 メシ、どうすっかな。

 食いに行くのも買いに行くのも今日はシンドい。

 

 ……アツシに謝んねえと。

 心配かけたしな。


 メシを食う時のあたしの表情はヤバいくらい幸せそうだってみんな言ってるくらいだし、そりゃ食欲ねえって言やあ首かしげんのもメシ食おうぜって連れ出そうとすんのも当たり前だ。


 ま、ハトポッポ発言の礼は関節技でも喰らわすとして……あれ? アツシいねえ。つか、佳奈しかいねえ。どこ行った?

 

「佳奈、アツシは?」

「外で食べるって出たよ」

「謝んねえと。心配してくれたのに悪い事した」

「アツシ怒ってなかったよ? それに言いたいこと言い合える関係ってことだから気にしないでいいんじゃない?」

「そ?」


 ちょっと天然だけど、アドバイスは冷静で的確。バカ騒ぎが好きなうちらの貴重なご意見番、佳奈様のお言葉である。へへー、ありがたやありがたや。ニコニコしてっから本気でそう思ってくれてんだろな。


 けど、さ。

 

「ケジメだし、帰ってきたら謝るよ」

「さすがゆちか。エラいエラい」

「頭撫でんなや」

「うふふ。それはそうとお昼どうするの? 一緒行こ?」


 うーん。今は外に行くの、正直メンドい面倒くさい。でもなあ。教室で寝てたいっちゃ寝てたいけど、そしたら午後もユーウツなままだ。


 それはダメだ。

 あたしの、ただの八つ当たりじゃねえか。


 ……よっし、行くか!


「佳奈は何食うつもりだったん?」

「決めてない。でもゆちかが一緒なら今日は行きたいところがあるの」

「おっけ。任せていい?」

「おっけ。今調べるね」


 どこ行くつもりなんだろ。佳奈、量は食べないしな。オシャレなカフェとかよく行くって言ってたから、それ系か? 気分転換にそういうのもいいな。


 でも、しれっとお嬢様なんだよな、コイツ。


 あれ?

 でも待てよ?


 御用達の、クッソ高級なレストランとか連れてかれないよな?

 大丈夫だよな?


 ちっと不安もあるけど、少し元気が出てきた。

 ダチってホント、ありがてえ。



「え?」

「どしたの? 早く入ろ?」

「いやいやいや、マジで?」

「一回来てみたかったの」


 全メニュー食べきったら無料か賞金付き。ガッチガチのマシマシのラーメン屋じゃねえかよ!


「ゆちか元気出るかなって思ってさ」


 おい。

 お前もか。

 

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