第11話 神様は残酷です。

「ちょっと待て...。焼土と化したら、村の人たちは死ぬんじゃないのか?」


『そうだね。だからなに?

助けてあげた結果、私の力で死んだんだ。約束は守ってる。』


確かにあの時....。

チビたちが魔物と戦うって言ったあと、生贄を捧げて神様になんとかしてもらうって流れだった。

つまり、あのじゃんけんは、って話になるのか?

屁理屈!!


『何?変な顔してるよ。私の愛し子よ。

理解できないって感じかな。人と神の考え方の違いだよ。

願いを叶えるのに付加価値をつけすぎたら、人間は助長するからね。

願いは、正確にお願いしないとダメなんだ。』


「なるほど、わかるようでてんでわからない...。

だが、とりあえず俺は逃げない。

確かに、村の人間たちには、呆れたし、悲しくもなった。

でも、恨んじゃいないんだ。

死んで嬉しいとかも思わない。」


『ふふ、やっぱり君はいいね。君の精神こころは、苦味がなくて美味しいよ。

いくらでも吸っていられる。』


「は?お、美味しい?

え?俺の心臓、おまえ食ってんの?」


『こころは、心臓じゃなくて精神だね。

厳密に言うと生命力だよ。

君のこころは、ピカピカしていて、透明なんだ。

えぐみがない、すっきりとした味なのに、満腹感があって幸せになれるんだよ。


愛してるよ、私の食糧いとしご♡』


ふわっと笑みを浮かべて見つめられた。

まるで本当に愛しく思われていると勘違いしそうな微笑みだった。

しかし、俺にはわかる。

きっと俺の顔が、美味しい食材に見えてるに違いない。俺の骨くらいは最後に残るだろうか?

一度止まった震えが、今度は違った意味で震え始めそうだ。


そんな俺を、またじっと無表情で見つめる神。

今日は、こんな顔をよくするな。

やがて、ふふふと神が笑って、『骨も臓器も食べないよ。』と告げた。


その言葉で、俺は気づいた。


「あー!その真剣な顔!

もしかして、俺の脳の思考を覗いているのか?」


あー...と、バツが悪い顔をする神。

本当に、コイツ今日はいろんな顔を見せるじゃないか。

人間味がある顔をされると、対応に困惑する。

冷たくあしらい辛いじゃないか。


『うん、君のこころを読んでいたんだ。

バレちゃったね。でも、読もうと思わなければ、読めないから安心して。君が読まれたくない時は、言ってくれれば善処するよ。』


.......。ぜんしょ...、絶対しないだろう...。


俺は、諦めた。





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