第一作戦、発射阻止

 ベレスは焦燥に駆られていた、取引のメールに従い口座に振り込んだにもかかわらずミサイル発射の情報が一つも入らないどころかZarreは音信不通となった、とりあえず銀行から家に帰ると留守電が入っていた。

[録音:1件]「ベレス、ミサイル発射の情報が入らないが?」クラークからの留守電だ、下手に返信すると命すら危ない。何より相手は民間軍事会社のCEOであり前払金とZarreへの以来金を受託しているからだ、この状態でミサイルが発射されないとなると持ち逃げしたと考えられてもおかしくはない。とはいえこのまま返信しないわけにもいかない、気が重いがクラークに折り返し電話をかけた。

 ——

 グリーンはベレスの監視を急いで切り上げメールサーバーにアクセスし、ベレスが送信したメールを傍受するためにサーバーのログの確認を始めた。ログは数百件にものぼるがメールアドレスの最初の数文字を検索欄に打ち込むとすぐに2件がヒットした、保護されたメールを傍受するのはほぼ不可能だがベレスは焦っていたのか安全管理を怠ったようだ、WiFiにVPNを繋がずにアクセスした状態でメールのやり取りを行なったようだ。

 グリーンは直ちに指定のメールアドレスに対しDDoS攻撃を開始した、相手がメールを確認しているならばDDoS攻撃は意味をなさないがもし確認していなければ時間稼ぎ程度にはなる。

 ——

 クラークはベレスからの折り返しが来たので直ちに電話をとった、

「ベレス、何処で何をしている」

「まて!私は確かに振り込みを行いメールも送信した!」

「ではなぜミサイルの情報がひとつも入らない?」

「それは私にも分からず…」

「言い訳は無用だ」

「直ちに原因を探すので時間をk…」


 電話が切れた


 ——

 グリーンは盗聴器のデータを再生した、すると何者かとミサイルの取引をするかのような通話が再生された。このデータは十分な証拠になると考えたためアメリカ国家安全保障局とアメリカ国防総省にこの内容を匿名でリークした。

 ——

 国防長官であるジェームズ・ケビンはCIA職員が協力して何者かがどこかの国でミサイルを撃ち上げようという計画が妨害されいつ発射されるか分からないという情報を得た、もし同盟国の領土に着弾した場合戦争の勃発は免れられず直ちに迎撃又は阻止する必要があるのは当然のことである。

 またこの情報は国家安全保障局にもリークされたようで現在暗号解読を試みているようだ、現在できる行動としては暗号解読を待機するとともに発射する国を予測し作戦を練ることである。

 ——

 アメリカ海軍作戦部長であるウィリアム・シャーマンはジェームズ・ケビンやその他国防総省のメンバーを交え直ちにミサイル迎撃の策を練った、何故なら発射される国が不明な以上撃ち上げを阻止することは非現実的な為だ

「予測された国は全部で3カ国、着弾が予測された国は全部で4カ国に加えNATOの全ての国だ」

「では全ての予測された弾道経路にイージス艦を派遣しましょう」

「展開までにどれくらいの時間がかかる?」

「横須賀から迎撃可能件内に入る下関までおよそ17日です」

「当たり前のように間に合わない…他は?」

「ロタ海軍基地に寄港している駆逐艦カーニーが30日ほどで…」

「仕方ないアメリカのみで完結させることは最初から不可能か」

「ドイツのラムシュタイン空軍基地にはイージスアショアがあります」

「射程圏内だ、日本海は?」

「舞鶴基地の第3護衛隊にイージス艦が配備されています」

「韓国は?」

「2019年に整備された平和安全法制に従い日本の近隣諸国で戦争が発生しかねない場合日本も対処できるようになってます、さらに武力攻撃予測事態の状況にあるため自衛隊の出動も承認されます」

「内閣府に連絡しろ」

「了解しました」

 ——

 内閣総理大臣である 横井将よこい しょう大臣は米軍から露/中/朝鮮のいずれかかからミサイルによる攻撃を受ける可能性があるとしてイージス艦の展開を求められた、この際日米安全保障条約5条[両国の日本における、(日米)いずれか一方に対する攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものであるという位置づけを確認し、憲法や手続きに従い共通の危険に対処するように行動することを宣言している。]と言う条項に従う必要がある。今回の事例では自衛隊法第93条に従いミサイルの破壊命令を出すことが可能、自衛隊法第76条第1項に基づき総理大臣には自衛隊の出動を命令する権限があり出動から20日以内に国会の承認を得る規定となっている、横井は直ちに防衛省、統合幕僚監部に対し自衛隊の出動を要請した。

 ——

 ベレスはミサイルが発射されなかった原因を調べる術すらなく逃げるしか選択肢がなかった。しかしその時メールが届いた、内容はサーバーダウンに関する内容だった。メール内の内容はこうだ

『[sever log:10/20 08:56 36GB ***.exe

 Sever log:10/20 08:56 36GB ***.exe

 Sever log:10/20 08:56 36GB ***.exe

 Sever log:10/20 08:56 36GB ***.exe

 Sever log:10/20 08:57 36GB ***.exe

 .

 .

 .

 No signal]

 要件は承諾した、当初はもっと高額だったがサーバーダウンしたためこの費用で承諾しよう』

 直ちにクラークに対しメールを転送した…が窓の外が光ったと思った瞬間轟音と共にガラスが割れこれまで体験したことのない焼けるような痛みに襲われた、狙撃されたのだろう。

 ——

 クラークは狙撃手バトンに対し狙撃命令を出した、のちに観測手ジンの連絡により狙撃は成功したと知ることになるがジンの連絡がある1分前にベレスからのメールを受信していた、内容は交渉が停滞していたことに関してだったがもう死亡している以上関係ない。

 ——

 護衛艦あたごの艦長 三原瑛みはら えい艦長は統合幕僚監部からの命令を受け航路変更をしていた

「命令内容は座標36.87 132.24に展開後迎撃戦闘に入る」

「目標到達時間、1時間」

「了解!」

 ——

 Zarreが攻撃を開始したのはベレスが狙撃されてから5分後のことだ、北朝鮮・中国のミサイルサイロは一時的なサーバーダウンを引き起こし復旧する頃にはzarreの指揮下にあった。ベレスは死亡したため発射が完了したかのメールは届かない、しかし日本と韓国のテレビ局は常に監視していた。その時韓国のテレビ局では[미사일 발사 정보]と表示された、その1分後くらいには[国民保護に関する情報]が表示された。

 ——

 護衛艦あたごは目標地点には到達していないもののレーダーにミサイルが捕捉されていた

 CIC[目標alpha 40.243 126.708レーダー補足4]

 CIC[目標beta 38.875 128.693レーダー補足3]

 喜多見「目標ベータ、迎撃戦闘用意」

 小山「SM-3、目標補足…発射!」

 CIC[弾着計算:120秒]

 喜多見「目標アルファ、迎撃戦闘用意」

 小山「目標補足…発射!」

 CIC[弾着計算:80秒]

 小山「目標ベータ、弾着5秒前 5 4 3 2 1 弾着!」

 喜多見「全弾迎撃!」

 小山「目標アルファ、弾着5秒前 5 4 3 2 1 弾着!」

 喜多見「3基迎撃失敗!」

 CIC[目標着弾:60秒前]

 小山はミサイルの着弾が異様に早いように思えた

 CIC[予想着弾地点:35.00 128.8/37.05 127.01]

 小山「着弾地点!釜山海軍基地および鳥山空軍基地です!」

 小山「目標アルファ、SM-3発射」

 CIC[弾着計算:30秒]

 小山「目標弾着5秒前 5 4 3 2 1 弾着!」

 喜多見「迎撃失敗!」





 韓国に着弾したミサイルは全部で3発が観測されたかと思われた…

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第1.9次朝鮮戦争 ライ @Apache64

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