第5話 昼休み

作者の変更ノート

第5話以降は真田杏のあだ名表記を「餡」から「あんこ」に変更します。

理由はなんか見てて硬いから。




昼休みになった。

俺は水谷達に動く権利を奪われているので教室の隅で本を読んでいる。

この本はせいなー小説家「つき山さん」が書いた小説だ。

「つき山」は家康の妻、瀬名せなの通称「築山殿」から来てるのだろう、と歴女である音華に教えてもらった。

せいな様の本名を知っているとは「つき山さん」は、俺と同じくらい、いや、俺よりもっと古い古参せいなーなのだろう。

ちなみにこの本のタイトルは「俳優探偵局」。

有名な俳優が探偵局を始める、という話なのだが、ヒロインであり主人公、徳川とくがわゆうの助手、今川いまがわ瀬怜奈せれなはせいな様がモデルなのだ。

それに、ちょっと面白い。これはこの小説の最新作なのだ。


なんとなく気になってあんこの様子を伺うと、藤原さんや数人の女子と仲良く会話している。

…せいな様と同性とはいえ、同じせいなーとして恨むぞ、杏さん。

っていうか、そもそもあんこは藤原瀬奈=藤田せいなと知っているのか?

まあ、顔見れば分かるか。


【???が 勝負を 仕掛けてきた!】

ん?

「明暗くん♪」

誰だ?声を聞いた事がない。

おそらく水谷達の仲間だが、焼貝でも蔓でも水谷でもない。

どうあがいても殴られる気がするので、無視しておいた。

名前は…

鳴神なるかみようというらしい。

ニコニコ笑顔で、楽しそうな声だったが、その反面強烈な殺気を放っている。

右目が眼帯で覆われている。

「なんで無視するのかな?酷いねー」

嬉しそうに言うが、俺には棒読みにしか聞こえない。

【ヨウゴの パンチ!】

ほら来た拳。もう慣れてるからいいや。

いったぁ!?

なんか雷付与されてるよ?火傷したよ?

でも俺は無視。痛いけど無視。こうすれば相手も去るだろう。

…なんて、俺の考えが甘かった。

「…無視?頭おかしいの?」

楽しくなさそうになってきた。

【ヨウゴの 雷パンチ!】

【ジュンキは 回避した!】

一応何とか回避。

「回避?逃げるの?だっさいねー」

【しかし パンチは 命中した!】

え?


【ジュンキは 麻痺した!】

体が麻痺して動かない。

くそ、俺が何かしらの能力を使えたら。俺がもっと強かったら。

反撃や逃亡、回避くらいはどんな能力を持っていてもできただろう。

「やっぱ、所詮は無能か。『能力無しの微塵子』、だな」

鳴神が俺を見下ろして言う。

【ジュンキの 麻痺が 解けた!】

よっしゃ。

「まあいいや。トドメの一発」

【ヨウゴの 雷パンチ!】

回避!多分無理だけど回避!

【ジュンキは 回避した!】

【雷パンチは当たらなかった!】

ゑ?なんて?


第4話の登場人物紹介

真田杏

実家が和菓子屋を経営している。美少女。

圧倒的こし餡派で、勝手に粒餡派のバイトをクビにした事がある。

その時は勿論怒られた。

性別:♀

年齢:15歳

誕生日:5月12日(純樹と同じ!)

能力:{瞬間移動}名前のまんま。他人を瞬間移動させることも可能。

能力値:Lv.930 Rank S

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陰キャです。俺の後をつけていたストーカーの正体は美少女でした 額田兼続 @Nekofuwa-jarashi

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