第5話 魔術の世界
本を落として怪我を負いそうになった後、俺は母親に本を読ませて貰えるようになった。
母親も、俺があまりおもちゃに関心を示さないため、遊べず暇だったらしい。
初め、母親は、厚い本をしまおうとした。
だが、俺はその本を触り「あうあう」と関心があることを示してみた。
すると、試しにと云うように呼んでくれた。
俺は、その本を熱心に解読しようと試みたが全くわからなかった。
だが、その熱心さにより母は、本に関心があるのだと錯覚してくれた。
本に関心があることを知ってからは、他にも絵本などを読んでくれた。
ある絵本を読んだ時だ。王国が戦争に巻き込まれるという結構グロテスクな話だった。
その絵本で、王国を《鬼》から守る人が出てきた時に父親の名前「セレトス」と云った。
ここの守護者の一員とでも云うべきなのだろうか。
その絵本には、魔術についても書いてあった。
砂漠のような場所で人に手から出た水を与える者。
即ち《水魔術》だろう。
手から炎を出して、肉を焼く者。《炎魔術》
《風魔術》
《地魔術》
《氷魔術》
《雷魔術》
もあるようだ。
この世界は、異世界であることが、確定した。
言葉も、立っちもまだ未熟だが、魔術を習得することだけを考えた。
魔術を習得するのに必要なのは、常識からして詠唱による《言語》と、それを使うための《魔力》だ。
魔力は、どうやったら容量が大きくなるのか聞いてみたいが、俺は生憎言語が話せない。
日本語も発音できない。
mを挟まなければ、だいたいの者は発音できないのだ。
まmまや、ぱmぱ。
それは言えても、他が言えない。
それに、パパ、ママと日本語で言えてもこの国、この世界の言語ではない可能性があるのだ。
いや、あの何を喋っているのかわからなそうな顔から察するにないんだろう。
まあ、言語を言う上での滑舌は「しゃ◯しゃん」とか云っておけば、上達するだろう。
そう思いつつ、日常的に発音するようになった。
家族からは不気味がられたが、致し方ない犠牲だ。
追憶の冒険者 @musyunn
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