第4話 発見

俺は、何ヶ月か経ち、這い這いができるようになった。

縦横無尽に駆け回れるようになり、俺はキッチン以外の色々なところを見て回った。

ふと子供用の本などが置かれている本棚を発見した。

その本棚の上には、分厚い本が入った箱が見えている。

背表紙に何か書いてあるが、読めないが故にもっとそれについて関心が湧いた。

黄金色の文字と紋様が背表紙に書いてあるのだ。

男のロマンだ。

そういえば這い這いの習得によって大きな物を発見した。

遠目で真実かどうかまだあやふやだが、キッチンでゴッドマザーは摩訶不思議な物を使っていた。

手から炎を出していたのだ。

何かを詠唱しているようでもあった。

這い這いをし、本棚に掴まり立ちを試みた。

フラフラして、生まれたての子鹿のようだが、分厚い本を掴むことができた。

だが、考えが甘かった。本を引き抜けず、その箱ごと落っこちてしまったのだ。

《あ、死ぬ》

頭が真っ白になる。

箱が斜めになり、そこから厚い本、即ち重い本がずり落ちた。

俺は箱を離せず、尻餅をつく。

そして、そのまま倒れ、俺の頭目掛けて数冊の本と箱が落ちてくる。

スローモーションのようにゆっくりと《絶望》が迫ってくる。

その時、本に何かが当たった。

俺の額の目の前に“鋭利な”風が当たり、切り傷が出来る。そのまま、本は横にクルクルと回りながら落っこちた。

この数秒で何が起こったのか訳がわからなかった。

情報量の多さに、ただ口をあんぐり開けることしかできなかった。

母親が、半泣きでこちらに走ってきたので、それは母親から放たれた物だと確信する。

母親は、切り傷を抑えて何かを付与した。

傷のヒリヒリする場所から、ほわっと温かい物が広がってゆき、痛みが無くなっていく。

“《治癒魔術》それは、傷を癒す物だ。”

どこかで聞いたことのある物だ。

ラノベなどで知っている。これは、魔術だ。

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