麦じぃと詩乃さん

えっと……誰?……

「はじめまして。僕は風守颯太と申します。」

『颯太くんか、よろしくな。儂は麦じゃ。もう年老いた猫又だが、この店の店主をしているよ。麦爺と呼んでくれたまえ。』

この人の話し方は、何故か落ち着くなぁ……

猫が喋っている時点でおかしいはずなのに、全く違和感がなくて安心するなぁ……

そう思いながら本題を伝えた。

「はい。むぎ爺さん、えっと…… 僕はこの貼り紙を見てここで働きたいなって思ってて」

『良かろう。儂にはわかる。颯太くんはきっとすばらしい人だと。』

そんなこと、ないのにな……でも何故かお世辞に聞こえないや。 

なんだか、ここにいるとすごく安心するなぁ……

『あれ? 新人バイトさん? こんにちは〜!』

今度はまた知らない誰かの声がして、店の方に目をやって見ると、黒曜石のような黒髪をツインテールに結ったリボンとエプロンのよく似合うシャルより少し背が低い女性がやってきた

『フータくん、こちらは詩乃ちゃん! 私と実は同い年で153歳の乙姫の娘さんです! 私はしーちゃんって呼んでるよー!!』

またしてもシャルのマシンガントーク。

もう、慣れてきて、ちょっと楽しくなってきた♪

『はい!さっきのシャルの紹介通り私詩乃っていうんだ〜!シャルとは結構長い付き合いなんだよ〜!』

元気に話す詩乃さんを見ていると、昔病室で看取った妹を思い出して少し切ない気分になったけど、何も返さないのは失礼だからととりあえず平常心……

「詩乃さんか、よろしくね!」

『うん!よろしくね!』

『これから店を案内するから着いてきて〜!』

内装はどんなだろう…… すごく気になる!

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