第23話 楽しみ

 ナンパから助けたその次の日から、アリサさんから挨拶を貰うようになった。わざわざ近付いて来てまで、おはようと言ってくる。

 それが数日続いた日には、女子からは興味の目線、男子からは嫉妬の目線を向けられたものだ。女子は良いけど、男子は普通に睨んできたので怖かった。


 更に、2日に1回は一緒に昼食を食べるようになった。隣に座ったアリサさんはとても綺麗で、可愛かった。


 俺の学校生活はアリサさんを中心にして、ちょっとだけ変わっていった。




 今日は一緒に屋上で昼食を食べていた。俺はおにぎり、アリサさんは弁当を食べている。


「千尋君はおにぎりだけでよく足りますね」


「アリサさんと違って、俺は帰宅部ですからね。おにぎり大きいし、これで十分ですよ」


 足りなかったら、家に帰ってから食べるか、コンビニ寄ってゼリー食べるから大丈夫だ。


「……もし良ければ、作ってきましょうか?」


「……何をですか?」


「千尋君のお弁当を、です」


 アリサさん、好きでもない男性にそんなこと言っちゃ駄目ですよ。勘違いされちゃいますから。

 アリサさんの弁当美味しそうだけど、ここは断っておこうかな。


「アリサさんの気持ちは嬉しいですが、お断りさせていただきます」


「美味しいですよ」


「アリサさんが忙しくなるでしょう。俺のことは気にしないで下さい」


「むうぅ」


 アリサさんは頬を膨らませた。可愛いかよ。……なんか少し不機嫌そうに見えるのは気の所為だろうか。


「分かりました、作ってきます」


「えっ?」


「これは私が作りたいんです。作って、千尋君に食べて貰いたい。だから、千尋君のお弁当作ってきますね」


「……はい」


 アリサさんは俺の弁当を作りたいようだ。ここまで言われたら作って貰おう。


 不思議だな。どうしてここまでして、俺と一緒にいたいんだろうか。


「「ごちそうさまでした」」


 俺とアリサさんは昼食を食べ終えた。まだ時間はある。


「アリサさん、1つ聞いて良いですか」


「なんでしょうか?」


「どうして俺と一緒にいるんですか? 仲の良い友達もいる貴方が、どうして俺と一緒にいたいのか不思議で。俺との関りなんて、ナンパを助けたくらいじゃないですか」


 アリサさんはキョトンとした表情をした後、微笑みながら答える。


「関りを増やしたいのかもしれません。……思えば私と千尋君の関係はなんと言ったら良いのでしょうか」


 俺とアリサさんの関係。戦い合った仲ではあるが、それはチサキの時だし、アリサさん知らないから。


「昼食を一緒に食べるクラスメイト、ですかね。それなりに良い関係だと思います」


「そうですね」


「……昼食食べる時は大体ここなので、一緒に食べたいと思ったらここに来て下さい」


「はい!」


 アリサさんは元気よく返事してくれた。可愛いな。


「それじゃあ、戻りましょう」


「分かりました」


 俺とアリサさんはベンチを立つ。


「楽しみにして下さいね、お弁当。それなりに準備があるので時間は空いちゃいますが」


「はい、楽しみにしてますね」


「はい!」


 俺とアリサさんは教室に戻って行った。ちなみに一緒に入ることはまだ出来ず、アリサさんが先、俺が後になるのだった。




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TS美少女大鎌使いになった俺のVRMMO〜大鎌は不遇武器のようです~ アンリミテッド @Anrimidetto

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