「 」
うるは
プロローグ
昔から、彼女に惚れていた。
どっちが先とかそんなものは俺らには些細なことで、手と手が触れ合うだけで体のそこから喜びが溢れて来ていた。
それがいつからだろうか。
いるのが当たり前になっていた。
彼女への気持ちが薄れたわけでも、彼女への愛情が風化したわけでもない。
けど感情が動かなくなってしまい、何も言わなくなってしまった。
おはようも、ありがとうも久しく俺の口からは出ていない。
“朝ごはん”
“ん”
そんな短い会話が日課。
だからある日、朝起きてすっぴんの彼女を見て、綺麗だなと思ったときまだ俺は彼女で感情が動くことができるんだと感動した。
年を重ねるごとに若々しくなっていく彼女を見て俺も努力しなきゃと思った。
それが悲劇だったと気が付いた時には五年もの歳月を無駄にしていた。
「 」 うるは @akira_mjkr
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