「おまえ百までわしゃ九十九まで」という言葉がある。
これは人間同士だから言える言葉で、飼い主とペットの間では、基本的にむりな話である。
さいきんの犬猫は二十歳くらいまで生きるから、逆算して、還暦から新たに犬猫を飼うのも難しい。八十までピンピンでいられる保証はないのだから。犬猫の世話どころではないかもしれない。家族を当てにできる場合は別だが。
基本的に、現在の日本において、ペットを飼うとは、ペットを看取ることとほぼ同義である。その別れが、本作のような考えうる最良のものであっても悲しさからは逃れられない。
ペットを飼っている人だけでなく、これから飼おうとしている人にも読んでもらいたい一作。