昔我が家にいたボンとミケの話

めいき~

昔居たペットという名の可愛い雑巾

昔、我が家には血統証付の柴犬ボンがいました。


子犬の頃は非常にかわいらしかったのですが、このボン年を重ねるごとにマッスルになっていき。最終的には狼に紛う大きさと警察のドーベルマンか競走馬みたいな筋肉をしてました。


何故我が家だけ鴉がこないのか、何故我が家だけ鳩の被害がないのか。


ボンが、みんな取り押さえてました。(==)




このボンとにかく、普段なかないし石像の様に動きません。


動くのは散歩の時と、ご飯の時とか後は飼い主のダイエットに付き合って走る時ぐらいです。


一度だけ深夜に恐ろしい程のボリュームで遠吠えをして近所中を叩き起こした訳ですが、その時は裏手のマンションのベランダに泥棒がはりついていたのを教えてくれていた時だったので通報した後で感謝こそされ苦情が来ることはありませんでした。



ボンには金属の餌皿でエサをやっていたのですが、朝昼晩と決まった時間の五分前に私が起きていないとエサ皿を咥えて床を叩きます。(あまりに正確な時間に叩くので、目覚ましいらんかった)



そんな、ボンがある日ミケ(雌)を何処からか拾ってきました。


ミケはボンに懐き、ボンの背中にずっと雑巾の様に垂れ下がって居ました。


そして、ご飯の時間になるとボンと同じ様に私の部屋の前で咥えた皿で床をバシバシとやる訳です。


※私が起きてくると、同じように背筋を正してエサがいれられるのを待つのも一緒。



ボンとミケはまるで親子の様にそっくりになっていきます、猫はもっと我儘だってきいたぞ?頭がいいのも一緒で、夏の暑い日は二匹が勝手に車洗う用の水道回して水かぶってがぶがぶ飲んだりしてました。ご丁寧に、使い終わったら口で蛇口閉めて。



ボンはガタイが良すぎるので、寝そべるだけでも猫用クッションよりも少し大きい位になりますがミケはまるでそこが自分の玉座であるかのように冬場は全く動こうとしません。


ボンは、風呂が割と好きでよく風呂場を占領していましたが。ミケもボンと一緒に風呂に入っている光景を見ていると「猫は風呂が嫌いなんじゃないんかい!!」と私は突っ込みをいれていました。



子猫の時に拾われて、ボンの事を親だと思っているのか。とにかく、背中にいる事が多かったです。


そんな二匹もダンダンと大人になっていく……と私は思ってました。




ミケは、野良の雄猫を連れてきました。


仮に、名をクロとつけましょう。



しかし、このクロもまたボンと同じ様になっていきました。

私が朝寝坊すると床を叩く皿が三枚になり、ボリュームアップ。


ミケもクロもボンの上で、雑巾の様にぶら下がって居ました。

お前ら飯の時だけ、めっちゃ軍人さんみたいに背筋を伸ばして待つんじゃない!。



・・・猫ってもっと色々動き回るとかコードかむとか聞いたんですが。



幸せそうな顔で、毎日垂れ下がっているだけです。



そんな、クロとミケの間にも子猫が生まれました。



三匹、全部雌。



ミケ 子猫3 クロが親子でやはりボンの上で毎日雑巾の様に……。


その内、子猫が増えたら。ボンは潰れるんじゃないかと、私は思っていましたが相変わらず背筋を伸ばして本当に生きてる犬かと紛う位にはびしっとしてました。



子猫が、何処かに行こうとしてもミケとクロは必ずボンの背中の上に咥えてのせていました。



ソレハキミ達の乗り物じゃないのよ?




季節が巡っても、相変わらず勝手に車の洗車用の水道で水浴びをしたり。冬場は丸くなるボンの真ん中におしくらまんじゅうか鍋モノの様に猫の親子が首だけ出してぬくぬくやってたり……。




「キミたち何にも変わらず、大きさだけ大きくなっていくね飼い主は餌代増えて大変だよ」


大体、ボンは余りにも力が強すぎて皮程度のリードでは切れてしまう為。鎖を、それも首だけでなく体ごとすっぽりいくような奴でやらないと危ないと言われていました。



でも超大人しくて忠誠が高いので、手を二回叩いたら来るとかでした。

一回だけ散歩している飼い主ごと引きづったまま飛び出した事がありましたが、大通りの赤信号で飛び出してしましそうな他人の子供の背中を咥えて止める為だったので痛い思いをしたのは飼い主(私)だけでしたが。


「サヨナラ、買ったばかりのブラウス」



体ごとすっぽりいくような鎖で持って尚人間ひきづって走って、子供を止める程度の速度がでるとか狂暴だったらと思うとぞっとします。



相変わらず家に帰ってくると、グータラしていました。



ボンちゃん腹だしてゴロゴロしてて、その上で子猫がゴロゴロしてて。ミケとクロが二匹でボンちゃんの首の辺りを枕にゴロゴロしてて……。



「キミたち、私が労働から帰ってきても休日でも全く同じように過ごしているね。私も働かずにキミたちに混ざりたいんじゃが」




子猫が増えた後、例の処置は済ませました。「増えたら増えたでボンちゃんの背中の上が鏡餅とかひな人形みたいになるだけだろうけど」



友人に猫かっていると高確率で言われます「大変でしょう?」と。



いや、うちのはどういう訳か大変じゃねぇんだわ。

大変なのは、餌代だけなんだわ。(ガタイがデカいので良く食う+猫親子が丸々と太っていくので)


玩具とか買ってあげても見向きもされねぇんだわ、ボンが一番楽しい玩具みたいで。



楽しんでたのが、ペット用のあれこれじゃなくて。人間の子供用ジャングルジム(組み立て式)とコタツとかつおぶしかけてやった時位だった。


「なんで、犬のボンちゃんがかつおぶし喜んでんだよ!」



アイツらが正確な時間なのは、食う、寝る、トイレ、風呂だけなんだよ。

それ以外、全部遊んでゴロゴロしてんだよ。何故か、ちゃんと決められたトイレに決められた時間にするんだよ。修学旅行の学生でも、そんなきっちりしてねぇよ。


偶に疲れて帰ってくると、本気でお前ら変わってくれと思う位平和そうな顔で床の敷物になってんだよ。




犬と猫ってもっと仲悪い筈でしょう?特にクロさん、アナタは外部から来た猫ですよねぇ?最初の二日だけでしたよ、猫っぽかったの。



敷物が増えて、ちっちゃめの枕が増えただけですやん。



煩くなく事も特になく、聞こえるのはあくびばかり……。



最初あまりになかないので、猫飼ってるなんて近所がダレも思ってなかった位ですよ。


ボンの背中見て、可愛い毛布ね~♪からのいきてる?!までがお約束みたいな。



そんな、マンドクセ……(-ω-)みたいな表情でチラ見してまた寝んな!。




そんな、ミケとボンとクロの三匹がさある日時間になっても来なくてさ。


縁側で並んで座って、気持ちよさそうに眼を閉じてさ。



こう、なんかふわっと笑ってたまま冷たくなってたんだよね。


触るまで、あんまり気持ちよさそうに座ってるから気がつかなくてさ。

触ったら、三匹とも冷たくなってんの。



んで聞いたんだよ、獣医さんに。そしたら、凄いねぇって。


老衰だよ、老衰。それもこんな表情して逝けるなんて余程幸せだったんだろうってさ。

色んな動物みてきたけどさ、苦しんでたりストレス抱えたり。


こんな、最後だったら俺も迎えたいよ。獣医の爺が、そういって笑ったのは覚えてる。

こんな安らかに、笑って苦しまずか。羨ましいねぇって。



「決まった時間になんでもやってたのは知ってたけど、三匹同時に決まって老衰とか凄すぎだろお前ら」って泣きながら文句言ってたのだけは今でも覚えてる。



結局火葬して、骨は先祖からの墓に納骨してもらってさ。



子猫もその後同じように、生きてるけど。


お前らみたいに、座って笑って死ぬのかなって思ったら。


太ると判ってるのに、かつおぶしをのせちゃうよなぁ。



お前らの親にもボンにも、特別な日だけのせてやったからさ。


お前らの親が無くなった日に、毎年かつおぶしつけても。



うちにある、敷物の数は減った。


んで、この三匹が家からいなくなったらペットは飼わない。


だからさ、この三匹が長く長く元気でありますように。




<おしまい>






※この三匹の子猫も今は居ませんm(__)m

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