続いて、お薄を差し上げます。
尾長律季
第1話 一服に出会うまで
最近、外に出ていない。昨日の夜は、今日の予定を楽しく決めていたが、実際は予定通り動くことがあまりない。
何というか、動けないのだ。
ベッドから起き上がり、寝室を出ようとは思うが、気づいたらまた寝ている。そんな毎日。こんな毎日、もう飽きてしまった。脳が退化している、そんな気がする。
でも、今日は、何となく外に出られた。多分、風が強くて誰も外出していないようだから、外に出られたのかもしれない。格好は、適当だが、まあ、着替えただけでも良しとしよう。鍵をかけて、アパートの階段近くまで行き、また部屋の前に戻る。
「……ん。閉まってた。……閉めた」
そして、階段を降りて公園まで歩く。もう3月に入ったから、暖かくはなってきた。でも、風が冷たくて、手袋は必須だ。冷え性だし。この前、ウグイスが鳴いていた。久しぶりに見たスマホで春の日付になっていることに気がつき、なんとなく意味はないが、変わらなくては、と思った。何を変えればいいのか。それさえも分からない。
続いて、お薄を差し上げます。 尾長律季 @ritsukinosubako
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