秩序を要求

@be_free_tide

第731話

 朝。かどうかも分からない大雨のヨル。濡れたアスファルトを容赦なく轢き殺す大量の車に起こされた。私も轢かれたのかもしれない。時計は敢えて見ない。部屋の鏡にはモノクロの私。モノクロの窓。私の瞳は。

 赤。燃えたぎる赤の車に乗り、発進する。2時間ほど経っただろう。気が付くと国はまたいでいた。まだ止まらない。止まりたくない。消えてしまいそうな私は、永遠に消えなさそうな赤の車を山道に進める。山頂。初めて来たが感動はない。足下を埋めつくすのはいつもの街。いつもの。

 ふと今が夜だと分かった。朝がこの世界から退室する。代わりに入室してくるはアサ。

 アサ。かどうかも分からない大雨の夜。あのアサ以来、2年待ったが朝は来ない。鏡の向こうに、私は居ない。そうか。そうだったのか。私は部屋の窓を全開にする。大雨が降り注ぐ。飛び降りた。あの山の上で迎えたあの夜のも含めると731回目。私は死んだ。

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