第3話
ある日、飲み会から帰って寝ていると、途中で起きてしまった。尿意だ。いつもより飲みすぎてしまったことが原因に違いなかった。ベッドから出て、床に脚をつけると指先に濡れているような感触が走り、足を上げた。
加湿器の設定が強すぎたのだろうか。確かになんだかムシムシしているような気がする。手探りで照明のリモコンを探して明かりをつけた。床には赤い水滴が一面に広がっていた。私は声が出ずさっき床につけた脚を上げたまま固まってしまった。
血?
静かな作動音に気づき、加湿器に視線を移すと、上記の噴射口から鮮血のような真っ赤な上記を部屋中にまき散らしていた。ベッドの端に小さくなって逃げた。ベッドにも赤い色が付いている。
どういうことどういうこと? 寝ぼけた状態ではなくなり、恐怖と混乱が頭の中で渦巻いている。
その渦の中心に、説明書に挟まれてあったお守りが浮いていた。あのお守りはこういうことが起こるから挟んであったのだろうか。あれは今どこにあるんだろう。考えている間にも赤い蒸気は部屋中に広がっていく。加湿器のリモコンを手に取ってオフのボタンを押すが全く反応しない。
手が粘着質な気持ち悪い感触がし始めた。私は掛布団に籠って水がなくなるのをひたすらに待った。どれくらい経っただろう。掛布団から抜け出すと、部屋中が血の臭いで充満していた。
加湿器 佐々井 サイジ @sasaisaiji
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