第4話 掘りごたつと猫獣人

 惑星国家キラリアから二人の猫獣人が訪れてから一週間が経過した。防衛軍指令室ではミサキ総司令と隊長のララが話し合っていた。


「姉さま。あの二人は反逆者ではなかったのですか? キラリアが惑星国家として統一された時に滅んだ王国の生き残りなのでは?」

「そうなんだけどね。掘りごたつに入っちゃったらどうでもよくなったみたい。春になって温かくなるまでは何もしないんじゃないかしら」

「ハウラ姫を亡き者にする手はずだったのでは?」

「そういう情報もあったけど事実とは違っていたようね。あのムラート太子はハウラ姫と結婚して惑星国家を丸ごと乗っ取ろうとしていた……これが真実よ」

「なるほど。で、太子は求愛したのですか?」

「それがね。ハウラ姫ってかなり恰幅が良いじゃない」

「ですね」

「バストサイズは多分155くらい?」

「具体的なサイズはどうでもいいです」

「そんな超ふくよかなハウラ姫なんだけど……」

「けど?」

「ムラート太子はお気に召さなかったみたいなの」

「まあ、そうかもしれませんね。あのレベルを好きになるデブ専は希少です」

「でしょ。黒猫さんくらいかしら」

「ですね。あのドラ猫は酷いデブ専」

「猫獣人の三人が全然動かないから、黒猫さんにお世話させてます」

「まさか、黒猫もこたつトラップに?」

「流石にそれはないわね。鍛え抜かれた軍人だから」

「確かに」

「それでも嬉々として食事を運んだり和室の掃除をしたりしてるわよ」

「健気ですね」

「( ̄m ̄〃)ぷぷっ! 健気ww」

「姉さま。そこ、笑うの失礼なのでは?」

「いいじゃないの。ハウラ姫はアニオタで二次元に夢中。政略結婚したいムラート太子は姫の体形にドン引き。姫が大好きな黒猫はその気持ちすら理解してもらえない」

「各人の思惑が全てすれ違っている」

「そこが面白いの。でしょ?」

「私の趣味ではありません」

「冷たいのね」

「私には関係ありません。ところであの二人をどうするのですか?」

「コタツで仲良く丸くなっている限り放置です」

「わかりました。では放置という事で」


 惑星国家キラリアから訪れた二人の猫獣人、ムラート太子とアキュラだが、当初の目的、即ち、ハウラ姫を誘惑して虜にし結婚までこぎつける事などすっかりと忘れてこたつで丸くなっていたのだ。四月半ばまで。

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萩市立地球防衛軍【番外編】……猫と掘りごたつ 暗黒星雲 @darknebula

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