第1話

 僕は緊張して汗をかいていた。9月だからそんなに暑いわけではない。何が言いたいのかというと、幸花に告白するは良いものの、その後に来る周りからの視線というものはノーマークだった。幸花は明るくて笑顔が素敵でクラスでも人気だった。そんな女子と歩いているのをみたら、どうなることやら……


 「どうしたの?しんどい?顔色悪いけど」

「いや、なんでもないよ?むしろ元気」

「そう、それなら良かった」

なぜか疑問に疑問をぶつけたが、そこには引っ掛からなかったみたいだ。


 「おはよっ!え?お前ら付き合ってんのか?」

後ろから、話すとめんどくさい星矢が自転車のベルを鳴らしながらこっちへ向かってくる。

「いや、付き合ってない……」

「うん。付き合ってるよ」

 お互いの顔を見合わせる。そして、幸花が口を開く。

「今付き合ってないって言ったよね?どういうこと?」

「違うんだ、あんまり知られたくないんだよ」

僕は小声で訂正した。

「なんで?」

幸花が聞き、僕は答える。

「恥ずかしいんだ。君のような女子と付き合ってるのが、釣り合ってるかどう…」

「それは違う」

僕が話終わる前に否定した。

「付き合うのは釣り合っているかどうかなんて関係ない。大事なのはお互いを好きでいることだと思う。周りは気にしないで、私達だけの道を行こうよ」

僕はその通りだと思った。


 「わかった?」

幸花が返事を求める。

「うん」

僕が返事をすると、幸花が付け加えた。

「でも、最初は気にするな、なんて難しいから付き合ってないって言うのだけはやめて。聞かれた時は幸花が言うから」


 僕はなんて優しい人なんだろうと思った。君が輝いて見えた。君が昨日星月夜で輝いていたのとまた違う感覚を覚えた。


 昨日とはひと味違う僕らは空を見上げる。僕らを引き立たせる空には雲ひとつなかった。この日々が続きますようにと空に願いを込めて、僕らは教室に向かった———————

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

NO ONE LAUGHS 志喰寝 @sigune_kaito

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ