クラスメートを助けたら1ヶ月後義妹になってました!
ボロデア
第1話俺と聖女さま
夜遅く、彼女は小さな公園のベンチで膝を抱えて蹲っていた。
「何してるんだ?」
それが有本匠が彼女―――早乙女紗羅との初めての会話だった。
もう少しで高校2年生になろうといている匠のクラスにいる彼女は誰に対しても優しいので『聖女』と呼ばれていた。
同じ学年でも彼女ほど、容姿端麗 成績優秀な生徒はいないだろう。
そんな彼女が夜遅くに1人でいることに疑問を抱え声をかけた。
「何してるんだ?」
他意がないことを表す気持ちで素っ気なく問いかけた。
彼女は顔を上げ、つかれたような声音で、
「有本くん?」
名前を覚えられていたことに少し驚き、彼女が自分に対して良い感情をもちあわせていないということを察した。
「何の用ですか?」
彼女は警戒心を隠そうとする素振りさえせず冷たく言い放った。こればかりは、時間も時間なので仕方がないと思いながら匠は返事をした。
「ただ、夜遅くに女の子一人でいるのは危険じゃないかと思ってな」
「そうですか。でも私は大丈夫ですからどうぞおかえりださい」
彼女がそう言いかけた時、ブーブーと携帯のバイブ音がどこからが聞こえた。
ビクッ
彼女の肩があからさまに跳ねた。
「早乙女、メール来てるぞ。」
「……」
早乙女は携帯の画面を見てなきそうな顔になった。
「おい、早乙女大丈夫か?」
「すみません、失礼します。」
彼女はそう言って頭を下げ走り去っていった。
「なんだったんだ?」
俺は1人、先程の早乙女の様子に頭を抱えていると、ベンチにハンカチが残されていることに気がついた。
「これ、早乙女のだよな。」
次の日
昨日の様子から思えないほど明るい表情で登校してきた早乙女を俺は呼び止めた。
「おい、早乙女」
「なんですか、有本くん」
昨日のことが気まずいのか少し素っ気ない態度で対応してくる早乙女に対して俺はハンカチを渡した。
「これお前のだろ。」
「どうしてこれを?」
早乙女は少し驚いた様子で聞いてきた。
「昨日、ベンチの上に落ちてたんだよ。盗んだりした訳じゃないから勘違いすんなよ。」
そう言って俺はその場を立ち去ろうとして、
クィ
何故か早乙女に止められた。
「なんだよ」
「今日の放課後、用事ありますか?」
「特にないがなんだ?」
「出来たら図書室へ来ていただけませんか?」
彼女はそう言うと立ち去っていった。
クラスメートを助けたら1ヶ月後義妹になってました! ボロデア @beruzebubu
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