スポット4 藤とし『日本料理』(十字路)

本編


 和菓子屋から少し歩くと、ひらけた通りに出た。この通りこそが、『ひがし茶屋街』である。


 『藤とし「日本料理」』の十字路に着いたあなたに、少女は話し掛ける。


「ここは、メイン通りだよ。私、ここで遊ぶのが一番好きなの。ここの通り、色んなお店があって楽しいんだ」


 すると、その場にいる姿が見えない者に少女は、楽しげに話し掛けた。


「みんな、お待たせ。新しいお友達を連れてきたよ」


 さらに人数は増えたようだが、まったく姿が見えない。


〈子供たちの囁き声〉


 しかし、それまで聞こえていた子供の声は増え、ヒソヒソと話す声が聞こえる。それは、あなたを取り囲むように徐々に近づいてくる。そこかしこから子供の声が聞こえ、紅殻格子べんがらごうしの隙間からも無数の視線があなたを凝視する。


〈戸を叩く音〉


 風吹かぬなかバタバタと、まるで閉じ込められているかのように、店の格子は揺れ動き、何者かが叩き殴る音が響く。


「みんなもあなたと遊びたいって。昔はもっと人通りが多かったけど、急に閑散としちゃって寂しがってたから、すごく喜んでるよ」


 あなたを歓迎するかのように、より一層激しく格子戸を叩き殴る音が茶屋街にこだまする。


「それじゃあ、そろそろ一緒に遊んでよ。もう、他のお友達は集まってるから、急いで来てね」


 少女に案内されていたあなたは、少女と遊ぶことになり、スタート地点(宿 陽月の街灯前)まで行くのだった。

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