スポット3 柴舟小出 東山店『和菓子屋』

本編


 〈子供たちの笑い声〉


 少女の好きな場所(『柴舟小出しばふねこいで 東山店 和菓子屋』)に着いたあなただったが、神社で参拝してからというもの、少女以外の子供の笑い声が聞こえるようになっていた。


 依然、体の重たさも変わらぬまま、あなたは手を引かれ歩みを進める。


 少女は、すごく気分が高揚していた。


「ここ、ここ。ここのドラ焼が大好きなの。甘くて、すっごく美味しいんだよ。お店の人も優しいし、私このお店が一番好きなんだ。ふふふっ!」


 だが、楽しかった過去を思い出したことにより、思い出したくない記憶も蘇り、少女の情緒は壊れていく。


 高揚だった気分はすぐに冷め、ため息を吐きながら悲しい感情が湧き溢れてくる。


「はぁ……また食べたいなぁ……。〈少女のすすり泣く声〉。みんなと一緒に……でも、……わかってる……わかってるよ! そんなの無理なこと……わかってる……から……」


 少女は、周りにいる者たちと話をしているようだ。

 どんな子がいるのか、何人いるのか分からないが、そこにいるのは確かだ。


 〈暗い感情〉

「うん。そうだよね。そうなんだよね……。もう、私達……」


 〈少し明るい感情〉

「ごめんね、心配かけちゃって。よし、じゃあ……」


 少女は周りに励まされ、落ち着きを取り戻す。

 気を取り直した少女は、あなたの案内を始める。


「ごめんなさい。ちょっと嫌な記憶が蘇っちゃって……。でも、もう大丈夫。それじゃあ、次の所を案内するね。そこで他の子達と待ち合わせをしてるから、そしたら、私達と遊んでね。勝手に帰っちゃ嫌だよ……」


 あなたは、そこからすぐの(藤とし『日本料理』)十字路へと向かう。

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