スポット2 東山菅原神社

本編


 少女に連れられたあなたは、『東山菅原神社』にいた。


「ねえ、この神社のご利益って何か知ってる?」


 あなたは首を傾げる。


「ここの神社、菅原神社って言って、学問と芸事の神様がいるの。それに、そこの二本の松の木。その間を通ると良縁になれるんだってよ。知ってた?」


 あなたは感心する。


 だが、急に少女は顔をうつむかせ、明るかった声は暗くなる。少女はそこに祀られている者に対して、まるで鬼のような形相で忿怒し、むらむらと憤怒の念が込み上げてくる。


「でも、……ここ嫌い……。ここに、お友達がいるんだけど、私はここに入れないの……」


 さらに、少女は憎悪の念を抱くように、「許さない……」「くそくそくそくそ……」「コイツ(菅原道真)さえいなければ……」などとぼそりと呟く。


 そんな少女は、闇を抱え、暗い口調であなたに頼み込む。


「だから、お願い。お友達と遊べるように(神様に)頼んで欲しいの……お願い……」


 少女の頼みを聞き入れることにしたあなたは、境内に入り、そこに祀られている者に「お友達を返してあげてください」と頼み申すことにした。


〈歩く足音〉


〈鐘が鳴る音〉


 参拝を終えて振り返ると、話声が聞こえる。

 少女が何者かと話をしているようだ。


「えっ、そうだったんだ。へー、……。うんうん、そうなんだ……。あはは……」


 少女は、参拝を終えたあなたに気づく。


「あっ、ちゃんと頼んでくれたんだね。ありがとう。みんなも喜んでるよ」


 (みんな……?)


 姿が見えないあなたは、「みんな」という単語に引っ掛かる。

 でも、一人ではないということしか分からない。


「じゃあ、次は私が好きな場所(『柴舟小出しばふねこいで 東山店 和菓子屋』)を案内するね」


 すると、あなたの手は再び、ひんやりとした冷たさを感じた。そして、それは両手に感じる。まるで、少女以外の者もあなたと手を繋いでいるように、体はずしりと重たくなり、あなたを次の場所へと連れて行く。

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