第20話 ワタシ回想する。
水晶鹿さんは延々と、綿毛に実った世界を、螺旋階段を上るかのように渡っていく。
何処か懐かしい世界を眺めながら、その狭間に見え隠れする綿毛の状態を確認しながら、遠い記憶を掘り起こす。
此処が広大な宇宙の中心か…。
ワタシが星やその生命たちと最期の時まで共に在るのには理由がある。
探していたのだ、エネルギーの源を。
水が高き処から低きへ流れ、また高き処へ還るように。
エネルギーもまた還るのだ、生命の源へと。
ワタシは共に生きた星や生命たちに託された。
叶うなら、零ではなく継続を。
道半ばで命の尽きた世界が再生される時、愛する世界と生命の願いが1つとなった瞬間からの継続をと。
あの綿毛はもう二度と目覚めることは無いだろう。
共に生きた幸せな日々の夢をみながら、生命の源からエネルギーを吸い上げ、世界の再誕を行っている。
アレの名をワタシは知っている。
世界においては世界樹、生命の樹ともいわれる存在。
ワタシで在って、ワタシでは無くなってしまった存在。
『 ユグドラシル 』
宿星花 月野薔薇 @mahara1971
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