第3章 ユグドラシル
第19話 ワタシ把握する。
水晶鹿さんの角の先から見渡す世界は何処か懐かしかった。
生命芽吹く大草原。
何処までも何処までも透明な水面の底には、真っ白な化石となった巨木が静かに眠る大水湖。
真っ赤に焼けつく灼熱の大地の空を、優雅に翔ぶ不死鳥。
遠くには今にも噴火しそうな火山を愛しそうにトグロをまいて抱え込む炎龍。
熱さは感じない。
全て水晶鹿さんが何らかの方法で防いでいるようだ。
そして突然途切れる大地。
真っ白な雲上を大地の様に踏み締めながら歩く水晶鹿。
遥か頭上を虹色の龍が翔んでいる。
その鱗に反射した光が辺りを虹色に染めながら。
1つ溜め息を吐く。
綺麗だ、言葉では言い尽くせない美しさだ。
それが全くの初めましての景色で、其処に住む生命たちに見覚えがなければ、何時までも見惚れていたことだろう。
もう1つ溜め息を吐く。
ワタシは気がついてしまったのだ。
水晶鹿さんが、世界と世界をあたかも隣り合わせの世界の様に転移していることに。
そして、ワタシは見てしまったのだ。
転移の狭間に見えた世界。
それは・・・巨大に成長してしまった宇宙植物ケサランパサラン。
その綿毛は幸せそうに未だに眠っていた(笑)
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